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つみちゃんと俺
友人に出演するから見に来てくれと言われたから。ただそれだけだった。
演劇にはそんなに興味が無かったけどテレビで見る有名人のステージみたいなものなんだろうなと軽く思っていたけど意外といいなあって。
台詞もたくさんだし、それにあわせた動作もしないといけないし大変なんだけど役者はそれを出さないでいる。すごいなあって。
ライトアップだけじゃなくて人、物、すべてがキラキラとしたものを出している。そんなことを頭に思いながらふと周りを見てみた。
男女問わず楽しそうな顔をしている。みんな同じ気持ちなんだなと。
そのまま目線を横に移動させると輝かせた瞳でまっすぐステージを見つめている少女を俺は見た。
セミロングのウェーブヘア、かわいい。
「んっ?」
彼女はこっちを向いた。
ぱっちりとした茶色の瞳に少し開いた口。
それが初めてつみちゃんを見た瞬間だった。