表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残酷で美しい異世界より  作者: 狼森エイキ
間章 3
48/125

料理の処刑人スペシャル!! 料理上手は誰だ!? 天国と地獄の料理頂上対決!!

カッとなってやった。

暑さにやられたのだと思う。

などと作者は供述しており……


あえて会話文だけにしてあります。

誰がどのセリフをしゃべっているか想像してみてください。

「さあ! 始まりました! 『料理の処刑人』スペシャル!! 司会は私、大和理名と!」


「シャルでお送りしまーす! スペシャルと聞いても心配しないでください! 今回が初めてですから! 二回目があるかどうかは読者の評判次第ですから!」


「さあ、それでは本日の参加者を紹介していきましょう! エントリーNo.1 料理上手はほぼ死に設定! きっと誰にも知られてない! その悲しみを力に変えろ! 和歌山 咲良!!」


「さあ、意気込みはどうですか?」


「死に設定とか言わないでくんない? まだ五十話とかそこらじゃん? これから出てくるかもしんないじゃん?」


「ありがとうございました! それではエントリNo.2 料理長を差し置いてミレッジ家のキッチンのすべてを握るメイド、ヘックス!」


「一位はいただきよ」


「エントリーNo.3 料理スキルは一切不明! あたりか外れか、それは料理を見てからのお楽しみ! レティシア!」


「なんで私まで……」


「エントリーNo.4 ある意味大本命! すでに幾人もの人間を地獄に送り、まさに料理の処刑人の名をほしいままにしている最恐の料理人、リヴァ!」


「バカにしてんだろ」


「さあ、それでは今回のいけに……審査員を紹介しましょう。 その胃袋はまさに異次元! たぶんなんでも食べれるはず、と選ばれたサリアさんと、いつぞやえらい目に遭ったのにまたこんな役回りになってしまったタニアさんです!」


「別になんでも食べるわけじゃないよ」


「またあいつの料理を食わされるのか?」


「念のためククルさんが控えていますので大概の場合には対処できるでしょう! それではシャルさん! 本日のお題の発表をお願いします!」


「さらっとエライこと言った気もしますが、まあいいでしょう。 本日のお題は夏だからこそ食べたいカレーライスです!! 世界観どうした、とか米ねぇだろとかそういう意見は言わないように。 番外編ですから」


「調理時間は一時間、材料はすべて揃っていますが中には一切関係ないものも紛れ込んでいますので注意してください。 結果は審査員二人の協議で行います。 それでは調理スタートの合図をコミッショナーであるディーナお嬢様、お願いします」


「なんでコミッショナーが食わないで私たちが食うことになってんの?」


「料理長の作った料理でお嬢様を殺すわけにはいかんからな」


「それでは行きましょう、プレイボ~ル!」





「それでは仕切りはシャルさんに任せて、私は現場をレポートしたいと思います。 まずレティシアさん、何を探してるんですか?」


「炊飯器ってないのか?」


「あるわけないでしょ! 異世界だよ! この小説、ファンタジーに分類されてるんですからね!」


「カレーライスがあって炊飯器ないってどういうことだ!?」


「同じベクトルじゃないですからね!? カレーライスだったらギリ異世界でもあるかな?って誤魔化して押し切れるけど炊飯器は無理ですよ! 家電だもん。 土鍋で炊いてください」


「はじめチョロチョロ、中パッパ……だったか。 どうすればいいんだ?」


「いやー大変そうですねー それでは次にリヴァさんを見てみましょうか。 どうですか?」


「玉ねぎの皮剥いてたら無くなったぞ!?」


「なんで全部剥いた!? 皮剥きも出来ないの?」


「他の野菜はできるんだ!」


「全部できろや料理長!」


「米は炊けるんだ! アイツよりましだ!」


「前科持ちが何を言うか! 二話前の話忘れたか!」


「あん時はホラ、オリジナルの料理だったから…… 今回はやることが決まってるぶんできるはずだ!」


「成る程、まあ頑張って下さい。 まわりの評判から察するに多分無理でしょうけど。 さあ次は……あの二人は料理できるって触れ込みだし、見なくてもいいや。 レティシアさんどうですか?」


「ジャガイモの皮をむいていたら全部なくなった……」


「あんたもかい!! っていうか玉ねぎならともかくジャガイモでそれやらかす人なんていないよ!?」


「包丁で、皮むき、できない」


「ピーラー使え! もう片言になっちゃってんじゃないですか……」


「ねえねえ、リナ」


「咲良は何が剥けないの? ニンジン?」


「違うよ。 チキン、ポーク、シーフード、どれがいい?」


『咲良ぁ!! もうあんさんだけが頼りやで!!』


「何事!?」


「阿呆ばっかに付き合ってて疲れたのよ。 これで少しはいつもの私の苦労もわかったでしょ?」


「身に沁みました!」


「よっしゃ! できたぞ!!」


「おおっと!? 優勝候補の二人を差し置いてリヴァさんがいち早く完成!! あんな状態でどうしてこんな早く完成させられたのか!? 見た目が普通なのもがかえって恐ろしい!!」


「おい」


「ニンジンってどこまで皮むきしたらいいんだ?」


「レティシアさん!? まさかのまだ皮むきの段階!?」


「それとルーも見当たらないんだが……」


「無いよ! この世界でルーが市販されてるわけないでしょう!? カレー粉もないですよ。 スパイスから手作りして……」


「あ、鍋が噴いてる!」


「大丈夫かな…… でも、このままだとだいぶ時間がかかりそうなので…… 差し替えまーす!!」


……


「さあ、それでは全員の料理が出そろいました!! それでは早速見ていきましょう!!」


「まずはサクラのカレーから! うん! 普通っぽい! 一晩寝かせたらさらにおいしくなりそう! でもイジリ甲斐ないしサラッと紹介するだけね」


「今回一番不遇なの私じゃない?」


「さあ、お次はヘックスさんの一品! 流石はミレッジ家の台所を預かる女! クリーミーでまろやかなホワイトソースは真冬の凍えた体を温めてくれること請け合い……ってこれシチューじゃない?」


「私カレーなんて知らないし。 シチューはほら、ヨーロッパでできたものでしょう?」


「その辺の事情はいいって言ったじゃん! 変なところでまじめだなぁ、もう! 次! レティシアさん!」


「時間には間に合ったようだな」


「なんていうか全体的に水っぽいというか……」


「米を炊くときに水を入れすぎたらしくてな、おかゆのようになってしまった」


「ただただ料理のできない人ですね。 最後はリヴァさんのカレー!」


「どうだ!」


「見た目は普通ですね。 時間がたったせいで冷めちゃいましたけど」


「それはあいつのせいだから」


「さあ、料理が出そろったところで審査員のお二人に食べていただきましょう! 大丈夫ですかお二人!? なんか死刑を待つ囚人のようですが……」


「まあ、二人の表情は気にすんな。 それでは実食!」


「うん、さすがは特技に料理と書くだけのことはある。 辛さをかなり抑えて酸味が強調されている」


「ドミグラスソースがご飯に混ざって…… これハヤシライスじゃない?」


「ああ!! 間違えたぁ!!」


「おおっとここで優勝候補がまさかの凡ミス! 見た目は見ているかもしれませんが製法は全く違うカレーとハヤシライス、何をどうやったら間違えるというのか!!」


「ヘックスのはさすがの出来だな、シチューだけど」


「レティのも……その、おいしいよ? 頑張って作ったことがすごく伝わる」


「初めて料理をした子供へのほめ方じゃないか!」


「さあ、そしてついに執行人の登場です! お二人とも、言い残すことはありますか?」


「要らない」


「言ったら帰ってこれなさそうだし。 では!!」


「いったぁ!!」


「……」


「……」


「二人とも? なんで微動だにしないの?」


「ククル!!」


「…… 信じられない…… 二人とも…… スプーンを加えたまま気絶してる……」


「リヴァさん! 案の定じゃん! 何作ったの!?」


「うえぇ!?」


「どうするリナ? あと審査員できそうなのなんて…… トリナやライラたちも逃げたし……」


「唯一残ってるのはベルさんだけか……」


「私は構いませんが」


「優勝はどうせお嬢一択だろ」


「でもこの際それでよくないですか? ほかの人たちカレーすら作ってないし」


「そうか…… その考えがあったか! よし! 優勝はカレーを作ったレティシア選手です!!」


「なんか納得いかない……」


「おめでとうございます、レティシア様」


「なんでハヤシライスなんか…… カレーの偽物みたいなの作っちゃったんだろ……」


「シチューよりマシよ。 まあ、私は後悔なんてしてないけど」


「さあ! これにて、料理の処刑人スペシャル!! 料理上手は誰だ!? 天国と地獄の料理頂上対決!! 終了です!!」

優勝 

レティシア 勝因:カレーを作ったから。


咲良   敗因:カレーじゃなかった。(ハヤシライス)

ヘックス 敗因:カレーじゃなかった。(シチュー)

リヴァ  敗因:カレーじゃなかった。(たぶん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ