トリナと咲良とククルの休日 3
途中目茶苦茶読みにくい部分があると思いますが、申し訳ありません。
ゆっくり読んでくだされ。
大陽というのは偉大かつ強大だったようだ。
カーテンなどによって覆われていた屋敷の窓も少なからず日の光が差し込んでいたようで、それが日暮れ、三人が屋敷に入ったときに嫌というほど思いしらされた。
あまりにも暗い。
いくら幽霊を信じていないとはいってもさすがにこの暗がりは気味が悪く、三人の歩みを躊躇させる。
昼間と同じく、一階から回ったのだが風呂場やトイレなどの水回りを探索する折、部屋に入る係を三人押し付けあう、あまりにもお伝えできない醜さの争いがあったのだがここでは割愛する。
ちなみにどの部屋でも前衛担当のトリナが最初に入ることとなった。
そして三人は二階へと上がっていった。
「確かにサクラの言うとおりね。 部屋が全部同じだし、それに貴族が住むには狭すぎる」
とりあえず目に前にあった部屋から順に回っているが、どの部屋もデザインは一様なようだ。
というかデザインと言っても備え付けのベッドと机以外家具は何もなし、壁や床材も地味なものであるからデザインもへったくれもない。
屋敷の住人、正確にはその家の持ち主家族が住む部屋は屋敷の広さにほぼ比例して広くなる。
誰に見せるでもないだろうが、自らがこの屋敷の人間であると知らしめる意味でもそういうことが多い。
要はこの屋敷における権威を示しているのだ。
「うちのアパートも部屋の内装が同じって意味では共通してるけどここも部屋を貸し出してたのかな?」
「町から遠すぎるよ。 アパートを借りるならアクセスがいいところにしないとね。 これはどちらかというと……」
どちらかというと、そう咲良が続けようとしたところで、
ギシ……
「げ」
バキッ!!
「「咲良!!」」
ガラガラガラ!!
いきなり部屋の床が抜けた。
咲良は重力のままに下まで一気に落っこちていく。
「咲良大丈夫!?」
ククルが魔法で火を灯し、灯りとして下をのぞき込むと、咲良はどうやら無事のようでこちらに手を振ってきていた。
「ちょっと大丈夫!? けがは!?」
「大丈夫。 ここ一階の倉庫だったんだね。 いろいろクッションになるものがあったっぽい」
と、言うので一安心して二人が灯りを近づけ咲良をよく見ると、顔や腕から血を流しており、今回一番おどろおどろしい咲良が目に入った。
ランタンに照らされことさら恐怖心をあおる。
「「キャアアアアア!!」」
「ん!? 何々!?」
にもかかわらず、当の本人は何のことかわからずあたりをきょろきょろし始める。
「何が大丈夫よ! しっかりケガしてるじゃない!」
「とりあえずポーション投げとくから飲んで」
「あ、ありがとう。 うわ! よく見たら私の手血だらけ!?」
「「気づくの遅い!!」」
と、よほどホラーらしい出来事ののち、咲良がポーションを飲み干すと、ケガが一気に回復した。
さすがに、流れた血までは元通りとはならず、見た目だけなら変わらず重傷者並みに派手だが無事である。
どうやら床の抜けた先は物置だったようだ。
「でもさすがに戻ってくるのは無理よね。 私とククルじゃ引っ張れるか自信ないし」
無事を確認したなら合流したいところだが、引っ張り上げるというのは厳しそうだ。
「暗がりじゃ危ないよ、階段から上がるからそのあたりで待っててくれない?」
「わかった、灯りはこっちでも確保できるからそのランタン持ってっていいよ。 じゃ、階段のところで」
と、ククルが言うと、二人は部屋を出て階段を目指した。
一方の咲良。
身体に異常は他にないか、念のため調べてみた。
その結果、特に異常は見つけられなかったのだが、他のものを見つけた。
ノート、というのにもお粗末な紙の束である。
かすれて見えにくくはあったが、一枚目に書かれていた文字を読んでみると。
「研究ノート7? 何で4? 中途半端な…… こういうものってバックナンバーと一緒に取っておくものじゃないの?」
明らかに前に1~6があるのだろうがそれは見受けられない。
というか、何故物置から?という疑問も出てくるが。
「なるほど、ここは研究所だったのかな? 二階の部屋は寝泊まりする居住区画…… だとしたら研究する場所は? それよりこのノートの中身が……」
トリナたちが待っているはずだというのにそのまま熟読しだした咲良、その表情が驚愕に代わっていく。
「信じられない…… この世界の科学水準では…… いや、魔法が使えるからこそ実現できるともいえるか…………」
と、ブツクサ言っていると、
ズドン!!
と地響きのような衝撃が咲良を襲う。
そしてそれは断続的なものになっていく。
「やっぱり生きてたか……!」
咲良はノート片手に音のするほうに歩きだした。
侵入者を排除すべく動いていく存在と、排除対象にされてしまった仲間のもとに。
***
その数分ほど前のこと。
「…………遅い!」
階段の上で待っていたトリナとククルだが、待てども待てども咲良は下からやってこない。
およそ十五分が経過しているはずなのに、だ。
「何かあったのかな? 思ったより怪我重かったのかな?」
怪我した部分にかけたり、そのまま飲んだりすることで回復する。
が、それには限度がある。
軽度の傷や打撲であれば一瞬だが、重傷であったり骨にまで負傷が及んだ場合はその限りではない。
「トリナ、私ちょっと見てくるからここで待ってて……」
「待ったククル、来たみたいよ」
床が抜けたあの部屋まで戻ろうとしたククルをトリナが止める。
確かに下の階から足音が聞こえる。
聞こえたのだが……
まず二人が認識したのは光。
てっきりランタンのものかとも思ったが、違った。
何せ一階から現れた影はその両眼を光らせていたのだ。
人間の少女のようではあるが、人間の目は光らないし、動きを見ても人とは違う何かをトリナたちは感じていた。
「サクラ……じゃないわよね?」
「これが幽霊の正体? 思ったより自己主張が強いみたい」
二人は各々武器を構え臨戦態勢、しかし対する影は二人を認識すると。
「ガガッガ…… データニナイ人物ヲ補足。 侵入者ノ可能性アリ。 セキュリティーシステムヲ解除スルニハアカウントガ必要デス」
「……ええっと……? アカウント」
さしものククルもそう返すだけで精いっぱいだった。
トリナは言わずもがな一言も発せなかった。
「ゴ自分ヲ新規アカウントヲ登録シマスカ?」
「えっと……じゃあ、はい」
「デハ名前ヲ入力シテクダサイ」
「入力? ……喋ればいいのかな…… 『ククル』」
「デハパスワードヲ入力シテクダサイ」
「パスワード?」
「合言葉トモイイマス。 アカウント登録ニハパスワードガ必要デス。 設定シタパスワードヲ入力シテクダサイ」
「設定してないよ!? あぁ……このお屋敷の住人か……」
目の前にいる少女はきっと前の住人の関係者なのだろう。
しきりにククル達の存在の良し悪しを計ろうとしているあたり警備関係か。
「警告。 セキュリティレベル維持ノタメ三十秒以内ニ入力サレナイ場合ハ。 新規アカウントヲ破棄。 侵入者トシテ排除シマス」
「マジ!? どうしよう!? トリナなんかない!?」
「なんかって…… じゃ、じゃあジェロニモ!!」
「パスワードガ違イマス」
「そうね、わかってた」
だって急に振られて適当に言っただけだから。
「それ何かが限界になったときの合言葉じゃない?」
「じゃあ、ククルは何かあるっての!?」
「うーん……0000」
「ぽい!!」
パスワードのそれっぽさなどトリナは知らないがなんかありそうな気がした。
「パスワードガ違イマス」
「ダメか」
「警告。 パスワードヲ三回間違エルト、非正規ニアカウントヲ取得シタトミナシ排除行動二移リマス」
「何それ!? 雁字搦めじゃない!? パスワードだって?なんて知らないのに!」
「だから今までここに調査に来た冒険者も帰ってこなかったんだと思うよ?」
「そういうこと…… ねえ、ククル、どうせ排除に動かれるなら……」
「先にやっちゃおうって? 超賛成」
「武器は何もって来た?」
「建物の中だと思ったから火薬は持ってきてない。 毒が通じればいいけど……」
「とりあえず私が攻撃をひきつけつつ斬ってみるわ。 アンタは隙を見て毒なりなんなり盛ってちょうだい。 私がとばっちり食らわないように気を付けてね」
「了解」
「パスワードヲ」
「「そんなの知らない!!」」
二人は一斉に左右に散って走り出す。
「こっちよ!」
まずトリナが一気に踏み込んで斬りかかる。
それを認識した少女は両手で前を覆い攻撃を防ごうとする。
が。
「隙あり!!」
その背をトリナが捉え、レイピアを突き刺す。
しかし、
ガンッ!!
硬い何かに当たったようで、身体に刺さっていかなかった。
「しくった! 鎧着てたか!」
だからこトリナの剣も腕で防ごうとしたのだろう。
ガギンッ!!
トリナの剣と腕が交わり、火花を散らしながらはじける。
「堅っ!」
そして目の前の少女はそのままトリナに向けて腕を引き、そして拳を突き出す。
すさまじい速度で放たれた拳をトリナはギリギリで躱し、少女の一撃は壁に突き刺さる。
ドゴォ!!
「嘘でしょ……」
トリナの顔が引きつる。
「こりゃ加減できないわね……」
「最初からする気無いでしょ?」
「火薬持って来るんだったな……」
「行くわよ! ククル!」
「はいよ!」
少女を対面で挟んだ二人が一斉に動き出す、その寸前。
「待った待った待った!! ストーップ!」
「「サクラ!?」」
二人がいつのまにか記憶の彼方にやってしまっていた仲間が階段下から現れた。
しかし、当の本人は二人をちらっと見るだけで、すぐに少女に視線をやる。
「間に合った…… えっと、セキュリティを解除したいんですけど?」
「セキュリティモード解除ニハアカウントガ必要デス」
「それって無い場合は?」
「新規登録トナリマス、マズハアカウント名ヲ入力シテクダサイ」
「和歌山咲良、で」
「アカウント新規登録ニハパスワードガ必要デス」
「パスワードは1234ですよね?」
「正シイパスワードノ入力ガ確認サレマシタ」
そう少女は言って、その場にひざまずいた。
いままで場を覆っていた殺しあいのような殺伐とした空気が晴れた気がした。
入れようと思って辞めたシーン
(???) パスワードをヲ入力シテクダサイ。
(咲良) ラミ○ス、ラ○パス、ルルルルル。
(トリナ、ククル) なんて!?
辞めた理由:パスワードじゃなくて呪文だった。




