95.異変は調査するべき
「よかった、ご無事でしたか。」
「結果無事ではあるけど普通に死にかけたわ。」
オーガキングの骨で体を修復強化し終えたところでグラシオが戻ってきた。治した後だから見た目は完璧だが、キングの骨に残っていた魔力の残滓だけでは魔力が戻りきってない。まだ全然満身創痍である。
とりあえず残ったキングの骨製のナイフを手から射出してみるが、当たり前のようにキャッチされた。反応どうなってんだよ。
「申し訳ありません。まさか魔族領でオーガキングが発生するとは…。」
グラシオによると近年の魔族領は魔力を吸収する魔族が多くなったために強力な魔物が発生しづらいらしい。あのハイオーガすら魔族領に発生したのが奇跡的なことだったのだと。
俺のレベルアップもここのオーガを壊滅させたら後は人間の領域にあるダンジョンでやる予定だったようだ。
街についたところで魔物が強くなってるとかオーガの動きが組織だってるとかの話を聞いて慌てて俺のところに戻ってきたらしい。
「魔力が薄くて発生しづらい魔物が出てきてんなら魔力が濃くなってるってことだろうけど…原因が不明だと。」
「はい。それで、その…」
「ああ、調べたいならそうすりゃいいさ。キングを倒したおかげでレベルもお前の予定よりはかなり高くなってるだろ?周りの魔物が強くなってるならそれを狩れば追加でレベルアップできるだろうしな。」
今の時点でレベルは38だ。街周辺に強めの魔物がいるならもう少し上げられる。内容は聞いてないが、ここで多少時間をかけたとしてもグラシオの計画に支障はないだろう。
「魔族を守るために魔王が欲しいんだろ?あんな化け物が出てくるような異変を放置して魔族が危険になったら本末転倒だろ。」
「…ありがとうございます。それではお言葉に甘えさせていただきます。」
グラシオは一度頭を下げるとすぐに森の奥に消えていった。




