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94.聖女の決意

 


 side聖女



「ふー…。」



 息を吐いて資料を閉じる。ここは勇王国の禁書庫だ。魔族の行動には必ずなにか意味があると考え、色々と無理をして資料の閲覧許可を得たのだ。


 だがそれも無駄足に終わりそうだった。魔王についての情報は教国のものと大差ない。勇者については魔王のいない時代に召喚陣を起動した実験などという神を冒涜しているような資料があったが、結果については破棄されているようだ。ただ二度としないようにとだけ記されていたので、失敗して神罰が下ったのだろう。



「なにかわかりましたかな?」



「…いえ。駄目ですね。」



 一通り目を通し終わったのを見て、勇王国の監視役から声がかかった。できる限り早く禁書庫から出てほしいのだろう。魔法契約で縛っているとはいえ、国の秘密を見られて気分がいいはずないのだから。魔王と勇者に関する資料は確認したのだから、すぐに退散する事にしよう。




 勇王国側に収穫が無かったことを伝えて教会まで戻ってきた。


 不安は拭えないままだが、今はこれ以上の情報を手に入れることはできない。こうなった以上、きっと魔族が実際に動き出すまで狙いはわからないままになるのだろう。



 心の中の不安を振り払うように目を閉じて首を振る。



「突き止められなかったのなら、強くなればいい。何があっても、どんな策があっても打ち払えるように。」



 自分に言い聞かせるように口に出す。今出来ることはそれだけだ。後手にまわることになるが、幸い魔王候補と呼ばれた魔物はスケルトン種、たとえ魔王になっても聖魔法は非常に有効なはずだ。



 魔王が誕生すれば、聖女として勇者様と共に討伐に向かうことになる。その時に備えて、より厳しい訓練をしよう。魔族の脅威からこの世界を守るために。



「どうか、女神様の加護がありますように。」





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