80.ちょっとした思いつき
『こちらでしたか。』
「お、グラシオか。もう言葉はバッチリだぜ。」
ガルマと色々と試しているとグラシオがやってきた。俺のことを魔族領全体に知らせ終えたらしい。
グラシオにも現状を共有して意見を聞く。ガルマと俺ではこの問題に有効な手段は思いつかなかった。
「私はあまり魔法は使えませんからね…。とにかく使い続けて慣らす、くらいしか。」
「まあそうだよなー。」
グラシオもいいアイデアは浮かばないようだ。前世の感覚がかなり強烈で、矯正に時間がかかってしまいそうだがこれはどうにも仕方なさそうだ。
ただ、と前置きしてグラシオは続ける。
「人間だったときの感覚が問題なら、人間にはない部位で魔法を使うようにすれば多少は早く慣れるのではないでしょうか?尻尾の先から魔法を打つようにしてみてはいかがでしょう。可動域も広いですし、敵からするとかなり厄介なのではと思います。」
「そうだな。そうするか。戦闘の幅も広がりそうだし。」
俺はグラシオの言葉に頷いて、とりあえずひたすら尻尾から魔法を打つかと考えたところでふと思いつく。
剣から魔法を打てないだろうか。
魔法を打つには内から外に魔力を出す時に属性を付与しなければならない。つまり魔力が通らなければ魔法は使えない。
剣はスケルトンの手が材料だが、刃を除いて他の骨を混ぜて作ったものだ。魔力は通せるはず。魔力が通せない右手に握っている以上、魔力を纏う、纏っている魔力を剣に流す、魔法を使うという手間はかかるものの剣から魔法を使うのは可能なはずだ。
出来たからなんだという感じだがせっかくだしやってみよう。剣を振ったら魔法が飛ぶとかかっこいいじゃないか。進展のない訓練で精神的に疲れてきたところだったし、息抜きも大事だろう。




