79.今までは助けられてたけど
「うーむ。変わりませんなぁ。」
「どうしたもんかなぁ。」
ガルマに言葉と魔法を習い始めて三ヶ月弱が経過した。
言葉の学習は想定以上に進み、今では普通に会話が出来る。風魔法による発声もバッチリである。
ついでに魔力会話の暴発もなくなった。ガルマに相談したところ、声に出すのと口の動きを合わせるように意識すればよいと言われたのだ。記憶はなくても元人間だからか、これが非常に効果的だった。
そして今、二人して訓練場で唸っているのは攻撃魔法についてだった。
「こればかりはイメージの問題ですからな…。より自分に合ったイメージを見つける以外にはどうにも…。」
「だよなぁ。まさかここにきて記憶に残ってない昔の自分に足を引っ張られるとは。」
風魔法で発声するのは簡単だった。前世の感覚なのか喉あたりで発動するイメージで普通に出来た。
問題が起きたのはその後。攻撃魔法の訓練でのことだ。近接戦主体の俺は実戦で杖を持たないからと始まった訓練で、無意識に左手から魔法を打ち出そうとして暴発したのである。
要するに、自力で魔法を習得しようとして《飛骨拳》のスキルを手に入れたときと同じ事が起こったのだ。壁の高い位置にめり込んだ左手の回収が大変だった。
どうも前世の俺は右手で剣を振り左手で魔法を使っていたらしく、どうしても魔法を使おうとすると左手から出そうとしてしまう。
近接戦の選択肢として使うなら反射で出せるようにしたいのだがこれでは無理だ。
言葉と魔法スキルの習得はスムーズだったが、変なところで躓いてしまった。




