75.計画通りらしい
グラシオの話を聞いても俺の方針は変わらない。死にたくないから強くなる。魔王になると言ったのも、それが一番強くなれそうだったからだ。
誰かのために命をかけてなんて絶対にしたくない。
それでも、魔王になったとき。自分の命が危険にならない範囲でなら魔族の庇護者をやってやろうと思うくらいには、前世の俺はお人好しだったようだ。
『ん?その話だと魔王候補なんてのが生まれたってのが伝わったら人間が全力で殺しに来るんじゃねーか?』
少し前に撤退してきた聖女たちを思い出す。あの時グラシオは、俺のことを魔王候補だと人間に教えていたはずだ。
俺の疑問にグラシオは、ああと一つ頷いて答える。
『あれでしたら問題ありませんよ。今の人間たちに魔族領の奥深くまで攻めてくる力はありません。そんなことが出来るなら我々はとっくに滅んでいます。
それに元々、種を芽吹かせた魔王候補が誕生したら人間に知らせてから魔族領に連れてくるのが計画でしたから。あの討伐隊は手間が省けて助かりました。』
なんだかよく分からないが計画通りだったらしい。どういう計画なのかは想像もつかないが。
『勇者の召喚について調べがついたのでその対策としての計画です。細かく話すと長くなってしまうのでまたの機会に。もう到着しますので。』
計画について聞きたそうにしているのを察したグラシオが軽く説明してくれた。魔王を倒すのは勇者なら、その対策は重要な事なのだろう。とりあえずそれで納得しておく。
そうして話しているうちに、言葉を教えてくれる魔族の家に到着した。




