73.するべきこと
視界が開けるとそこはどこかの屋敷の部屋のような場所だった。グラシオの住居だろうか。
グラシオがどこからか取り出したベルを鳴らすと、額から一本の角を生やした執事服の男が現れた。
「××××××××××××?」
『こちらは魔王候補様です。まだ名はありません。見ての通り食事等の用意は必要ありませんが、余計なトラブルが起こらないよう周知しておくように。』
執事服の男に魔力会話で言葉を返すグラシオ。俺に伝わるようにしてくれているのだろう。言葉がわからないと状況も理解しづらいので正直助かる。
『かしこまりました。すぐに周知してまいります。はじめまして魔王候補様、ご用命があれば屋敷の各所に置いてあるベルを鳴らしていただければ駆けつけますので。』
『おう、はじめまして。グラシオの言ったとおり名前はない。よろしくな。』
執事服の男は即座に魔力会話に切り替えて返事をした。人を呼ぶような用事があるかはわからないけど覚えておこう。
男が去るとグラシオが今後についての話をはじめる。俺はすぐにでも魔王を目指してレベルアップを始めるのかと思っていたのだか。
『ひとまず言葉を覚えましょう。魔力会話は便利ですが、それなり以上の魔力操作が必要なのでできない者も多いのです。』
『お、おう。言葉わかんねーと不便だしな。そりゃそーだ。』
魔族領で最初にやる事はお勉強だった。




