60.おかしなこと
鑑定結果を確認して、違和感。
俺はあの時のことをしっかりと記憶している。あの恐怖と一緒に。だからすぐに気付くことが出来た。
(ステータスが変わってない…?)
レベルもスキルもあの時のままだ。集落を壊滅させたのはこいつのはず。ジェネラルも俺のところに来た一匹だけだったとは思えない。
つまりこいつはここで、ジェネラルとキングを倒しているはず。ついでに格下とはいえ雑魚ゴブリンと上位種ゴブリンも大量にいたはずだ。
進化してないだけならわかる。Eランクの俺ですら短期間では進化できてない。それでもレベルの一つも上がってないのはいくら何でもおかしい。
(それに…傷一つない。少し前まで戦っていたはずなのに。)
格上を含む群れと戦って無傷。あの巨体で、素手で、スキルで。戦い方も技術とは無縁の力任せなものだったはずだ。
「ガァアアアア!!!」
こちらに気付いたオーガがすぐさま突撃してくる。考えるのは後だ。
上から降ってくる拳を躱して剣を振るおうとしたその時、《直感》が激しく反応する。咄嗟に《鋼の肉体》を起動。防御の姿勢を取る。
次の瞬間、オーガの拳が地面を爆散させた。散弾のように飛び散る石礫が俺の体を吹き飛ばす。
(く、そ!とんでもないな!)
《直感》だけだったら死んでいた。魔力加速でも離脱は間に合わなかっただろう。こんな化け物がジェネラルと同格とは思えない。
絶対に正しいと思っていた《鑑定》が、間違っていた。それにいまさら気付いたところで遅かった。
もう、戦って勝つしか生き残る道はない。




