39.逃げ続ける
安易に魔力を使わなくて正解だった。そう思いながら魔力を足から吹き出して思い切り前方に加速をつける。進化してレベルも上がっているからか、それともホブ・ゴブリンの時のように無理な体勢ではないからか、そこまでバランスを崩すことなく着地することができた。
「ギィッ!?」
かわされるとは思っていなかったのか驚愕の声をあげるゴブリンを放置してゴブリン・アーチャーに向かって駆け出す。距離が近くなってきたからか、ギリギリになってしまったが1匹目の矢を躱して走る。後ろからは小柄なゴブリンか追ってきているが俺の方が速い。
2匹目のゴブリン・アーチャーはまだ射ってこない。どうやら今の距離だと躱されると判断して、引きつけてから1匹目と同時に射掛けるつもりらしい。さっきやった魔力による加速も警戒しているようだ。
そしてゴブリン・アーチャー達との距離が、俺の歩幅で5歩分ほどになったとき、ついに仕掛けてきた。
1匹目の矢が放たれる。2匹目は躱した方に向かって射るつもりらしく構えたままだ。《直感》で軌道を確認するが、この距離だと普通に躱そうとしても当たってしまうので、魔力で加速して斜め前方に向かって躱す。
瞬間、2匹目が矢を放った。その矢は寸分違わず、着地点で俺の頭を射抜く軌道だ。この矢はどう足掻いても躱せない。魔力を適当なところから吹き出せば躱せるかもしれないが、倒れ込んだら俺の負けだ。
俺はそのまま着地し、矢の軌道に持っていた短剣を滑り込ませた。
矢を逸した短剣の刃は砕けてしまった。基本的に俺の体と同じ程度の強度なのだから当然である。残った部分をゴブリン・アーチャーに向かって投げ捨てて、その横を走り抜けた。




