24.ホブ・ゴブリン遭遇戦4
魔物の本能のようなものなのか、ホブ・ゴブリンが持つ棍棒に魔力が集中しているのがわかる。なんとなく、あれが奴の扱えるすべての魔力だということも。
《急所突き》はホブ・ゴブリンにとって本当に切り札だったのだろう。使う以上は外したくない、俺にとっての《飛骨拳》のような。俺が回避をミスして無茶をしたこのタイミングなら、確実に当てられると判断したからこそ使ってきたのだ。ホブ・ゴブリンからしたら俺が攻撃の軌道を知ることができる事も、《急所突き》のスキルを把握されている事も、知りようがないのだから。
《急所突き》はその名の通り、急所を狙ってくる。大まかにしか軌道が分からなくても狙ってくる場所が確定している上に、突き攻撃だから有効範囲が狭い。《直感》でタイミングは完璧に把握できる。
タイミングを合わせて半歩左に動き、半身になる。魔力を纏っていたからなのか棍棒に触れていないのに肋骨がいくらか削られて飛ばされた。
渾身の攻撃を躱され驚いているホブ・ゴブリンの伸び切った腕を掴む。
「ギャ!?」
握りつぶしてはいない。ただ強めに掴んだ。突然腕を掴まれて、痛いと感じたならば次の行動はわかる。ただ反射的に振り払おうとするのだ。
──《飛骨拳》
ホブ・ゴブリンが俺の手を振り払おうとした瞬間、腕を掴んだ手を《飛骨拳》で飛ばす。当然、自分を掴んでいた手が勢い良く飛んでいくなんてことが想像できるはずもない。腕を払うためにしていた重心移動、そして想定外の方向にむかってかかった強い力。結果、狙い通りにホブ・ゴブリンの体勢は大きく崩れた。
残った手でホブ・ゴブリンの首に掴みかかる。手が首に届いた時、足に衝撃を感じて転がされた。どうやら蹴り飛ばされたらしい。顔を上げた俺の視線の先にいたのは苦しんでもがいているホブ・ゴブリンだった。
ギリギリだったけど、俺の勝ちだ。




