俺たちと「世界」状況、雑魚狩りの乱入者
「この世界のある地にエクスカリバーがある。それを手にした者こそが聖剣士アーサーだー」
VRMMO・EXO。
俺はEXOのプレイヤー、芝原渉。高校2年。プレイヤー名は「シーヴァ」。使用武器は薙刀、日本刀及び太刀。
現実世界では薙刀部と剣道部を兼部しており、両方で全国クラスの大将として名を馳せている。アバターも武士を連想させる装備を着用している。現実世界での様々な事柄に基づいてアバターや初期装備を確定させるので、最初から非常に強いプレイヤーもいれば、なかなか強くなれないプレイヤーもいる。俺は前者である。
惨劇の始まりは、俺の初ログインから1週間も経たない日だった。
EXOプレイヤー全員がゲーム世界に閉じ込められた。原因も不明。
現実世界に戻るためには、この広大な世界の中に、たった一つある「聖剣エクスカリバー」を獲得して、一回でもラスボスを破らねばならない。
俺の女友達のプレイヤー、手塚光里はフェンシング部。サーブル使いだが、通常のサーブルより長い「ロングサーブル」を使う。装備はフェンシングの装備ではなく、白に赤縁のライトアーマー。某作品のヒロインの装備と非常に似ているが、「赤の十字架入ってないから違うもん!」とふくれ顏だ。いや、ホントにそっくり、て言うかほぼもろパクリ。髪の毛はショートの黒髪だし、普通に前述のヒロインばりの美貌はある…とベタ誉めして彼女の噴火を抑えてるのも事実だが。
幸い、(再びだが)前述の某作品の様に「ゲーム世界での死亡=現実世界での死亡」ではなく、HP0になった場合はプレイヤー拠点|(プレイヤー本人に拠点登録されている建物、なければ最後に寝た所)に転送されるだけで、現実世界に何ら影響を及ぼさない。まれに、初ログイン以降一睡もせずにチュートリアルや初期クエストでHP0になるプレイヤーもいるが、その場で強制コンティニューさせられ(アイテムは使用しない)続行する。俺たちは、拠点登録を兼ねて「住宅街」にある激安物件|(事故物件やボロではない)を割り勘即払いで購入。現実世界で2000万円くらいの価値はあるが、支払った金額は1万円相当。ただただ驚くしかなかった。全体的に物価も安いそうだ。
しかし、その前に、優先事項がある。
今、初期リスポーン地点「光の町」から最も近い「始まりの草原」で経験値を稼ぐために雑魚狩りをしていた。猪のような体に、紺色の毛に覆われたモンスター「フーゴ」のスモールサイズは、獲得経験値と討伐難易度のバランスが比較的おいしいモンスターだ。しかし、討伐し過ぎた時は、無事に帰ってくることはないと言われる。
フーゴを束ねるボスモンスター「ドスフーゴ」がいるからだ。
「…まさか、光里…『ドスフーゴ』呼ぶ気か?一応初心者だぞ俺ら…」
「大丈夫でしょ〜それぐらい出てこないって………」
「フウウウウウウウウゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!」
「て言ってる時に呼ぶんじゃねええええ大馬鹿者ぉおおおお!!!!!!!」
「ゴメンネ、テヘペロ」
「テヘペロじゃねええええええええ!!!!!!!さっさと潰すぞ!」