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拾いふだ  作者: lycoris
8/27

ベンチ

それから合唱祭や学芸会に運動会や誕生日パーティ、授業参観や家庭訪問やそこそこ難しいテストなどいろいろな行事や出来事があった。

もちろん間はあったが、振り返るとあっという間に過ぎて行った出来事たちだ。


あれから僕は度々公園に出向き、幽霊のサラリーマンに話を聞かせていた。

向こうも暇らしくいつ行っても公園に居た。

最初は毎回お供え物を持って行っていたが、「お小遣いはもっと別の事に使うか大事に貯めといた方がいい」と言われたので、自分が小腹が空いている時だけ持って行く様にした。

いつしか友達と遊ぶ時間といい勝負するくらいサラリーマンと一緒にいる気がする。

サラリーマンは話を聞き、自分の過去と比較したり、アドバイスをくれたりしてくれた。

幽霊だから偶に自分の過去を忘れてたりするが。

でもどんな話でも親身に聞いてくれるから、何かがある度に報告でもするかの様にサラリーマンに話に行った。


そんな日々が続くと、いつしか友達とは学校で遊んで、学校が終わったら家で遊んでるかサラリーマンと話してるかになった。

おかげでいつも公園に1人で誰かと話でもする様に口を動かしてる僕を見た何人かが避ける様になって友達はあんまり増えなくなって、遊ぶ時も学校かメンバーに空きが出た時に誘われる様になった。

僕はそれでも構わないと思っていたが、サラリーマンは申し訳なさそうに「しばらく来るな、でっかい事があった時だけは聞いてやる。どうしてもの時だけは聞いてやる。しょうもない事を言いに来たら今度から姿は見せないからな。」と言いつけられた。

その日はそれを言われた日は、すぐに帰ってベットに伏して泣いていた。

しばらくは寂しかったが、毎日公園に行くと、なんだかんだ1週間に1回くらいは定期的に聞いてくれる形に妥協してくれた。

それから大きな用事や学校行事を楽しみになるようになって積極的に取り組む様になった。

それのおかげか友達と遊ぶ日も少し増えて、先生にも感心されるようになった。

順調だった。

季節が変わり、長期休暇の時は2週間に1回しか定期的な話を聞いてもらえなかったが、サラリーマンはいつも同じ格好で公園にいた。

順調に1年が過ぎた。

サラリーマンに変化はなかったが僕の背は少し伸びたし体重も増した。

明日から新学期だ。

みんな宿題を終わらせてないのか今日は公園に人が少なかった。

公園の中で僕たちは期間限定のスナック菓子を頬張りながら春について語り合っていた。

「明日から新学期なんだ。」

「へー、で今日は人が少ないわけだ。」

「うん、それで進級したらクラス替えがあるんだけどさ。」

「ああ。大丈夫さ、そんなのはいつの間にか馴染んでるものさ。心配し過ぎると帰って失敗するぞ、いいのか?」

「違うよ、友慈くんとさ。」

「何かあったのか?」

「いや、なんて言うか、離れたくないというか、離れちゃいけないというか。」

「なんだそりゃ。」

「なんだか、僕と友慈くんは離れちゃいけない気がするんだよ。」

「はぁ。」

サラリーマンは明らかに呆れた態度になった。

「よく分かんないんだけど、ダメな気がするんだ。離れちゃったらそのまま居なくなっちゃうような。」

「そんな、別に死ぬわけじゃないんだからさ。」

首を横にふる。

「ううん、たぶん、死んじゃうのかもしれない。」

「おいおい、なんだよ、お前は予言者にでもなったのかよ。」

「そんなんじゃないよ。ただそんな気がするんだよ、無性にね。」

「ふーん、まあどうせ無駄だろうけど。」

「何で?」

「クラス替えなんて担任達が決めることだろう?それに明日までに決まるんじゃなくて事前に決まってるだろうし。」

「たしかに、どうしよう。」

「願うしかないな。行動したって無駄だ。お前の運を信じて大人しく待つしかない。」

「うーん…」

「腑に落ちないか。ま、それでも待つしかないんだ。」

「…うん、そうする。信じてみるよ。」

「おう、お前は運のいい男だ。なんせこの俺と出会ったんだからな。」

「ははは、それはどうかな。」

「お、なんだとこいつぅ!」

「あはは、逃げろぉー」

「あっ、おい待て、このやろう!」

それから、運動不足だという情けないサラリーマンと鬼ごっこが始まった。


「はぁはぁ…」

「はぁ、はぁ、おじさん、情けなさ過ぎるよ。」

「うるさい、こんなに走り回ったのはひさしぶり、はぁ、なんだよ。」

「あははは。でも走ると楽しいでしょ?」

「いや、うん。ふぅ、ま、悪くはないかな。」

「それは良かったよ、はは。」

「ハァ〜」

ため息まじりにおじさんは深くベンチに腰掛けた。

そして両手を広げてベンチにもたれ掛かってまたため息をはいた。

いや、これはまだ息が切れてるからかな。

「俺ももう、そんな年か…」

「え、おじさん自分が何才か覚えてるの?」

「いんやぁ、ただもう時期結婚しろって親や周りに言われてた気はする。」

「へー、てことは30才過ぎ?」

「どうだろうな、もう少し若いと嬉しいかも。特に意味はないけどさ。」

「そうなんだ。ねぇ、本当に何も覚えてないの?」

「ん?まあ、別にいいじゃないか、お前には関係無いし。」

「そうだけさ、だけど、なんかおじさん可哀想だもん。」

「はー、お優しい。なら、俺は悲しそうに見えるか?」

「いや。」

「ならいいんだ。ま、お前は優しいからしょうがないけど。」

「おじさんがいいなら良いんだけど。何かあったら言ってね、いつも聞いてもらってるし。」

「ああ、お前もな。」

「うん!」

走り回ってるうちにだんだん傾いていった太陽が、いつのまにか公園全体をオレンジに染める。

「そろそろ「うん、分かってるよ。明日の準備もあるし、今日は早く帰らないと。」

「ならいいさ。明日、お前の友達が一緒のクラスになれてるといいな。俺じゃ意味無いだろうが祈ってやるよ。」

「あは、ありがとうおじさん。僕も帰ったら忘れずに祈るよ。」

おじさんに手を振り、夕日が染める公園を背に家路に着いた。

「じゃあね、おじさん。」

「じゃあな。」


「ふぅ、さて、もうここに来て1年か。早いな。俺はずっと何やってたんだろうな。

これから俺は何をやるんだろうな…

はぁ、俺はここで何すればいいんだろうか…

あー、さっきから同じ事しか考えてねーや。

目先の事は何も無いし、昔の事はあんま覚えてないし、しょうがないっか。」

沈みきった太陽にボヤく。

「ちくしょー!暇だー!」


誰もいない公園に響いた中年の声は誰の耳にも止まらなかった。

予定が立て込んで後回し後回し、気づけばもう4月。すみません、相変わらず遅筆で。

言い訳してもしょうがないですが、ほんとうすみません。

次は、なんて言ってもしょうがないですが、なるべく頑張ります。

って言えたらいいんですが、今週も来週も忙しくて、たぶん間に合いません。

先に、すみません。


そしていつも遅筆にお付き合い頂きありがとうございます。


それでは

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