出会い
大変ながらお待たせしました。
その眩しさに思わず腕で目を隠し、「ウッ」と声を漏らした。
「んん〜…」
上半身を起こし、頭を掻く。
その間に口からあくびが漏れた。
「あ、ママー、お兄ちゃん起きたよー!」
電灯の真下から妹のうるさい声が聞こえた。
電灯とベットは近くにあるので、妹の声はぼくの頭に響いた。
「うるさいなー」
「あ、お兄ちゃんおはよー。」
「おはよう…ねえ、今何時?」
妹は時計の方を真剣に見つめてた。
「えーっと、長いのが7で短いのが2にあるから、夜の7時2分!」
「んーありがとう。それと、2分じゃなくて10分だから。」
「へー、よくわかんないや。」
妹は用事を終えたからと踵を返し、やって来た方向へと戻ろうとした。
「待って、何か用があったんじゃないの?」
そう呼び止めた。
当の本人は忘れていて、首を傾げる始末。
「母さんか父さんからの伝言じゃないの?」
今思い出したらしい。
「あっ、そうだった。もうすぐ夜ご飯だからお兄ちゃん起こしてきてってお母さんに言われたの。良くわかったね。」
「そりゃあ、自分の用事を忘れる訳はないからね。わかった、今行く。」
体を起こして、そそくさと駆けて行った妹の後をノロノロと追った。
お母さんに言われて今は洗面台の前で顔を洗っていた。
タオルで顔を拭きリビングに行くと既に夜ご飯の準備は出来ており、ぼくが席についた後にお母さんが洗い物を簡単に済ませて席に着き、妹がテレビへの視線を変えずにソファから食事テーブルに移動し、最後に一家の大黒柱のお父さんがビール缶を片手に首にかけたタオルで顔を拭いながら席についた。
「ふぃ〜、っと。じゃあ、我が息子も起きた事だし、飯にしようか。」
「あなた、オヤジくさいわよ。」
「おっさんのお父さーん!」
今日も賑やかな食卓だ。
「じゃあ、みんな手を合わせて」
「「合わせましたー。」」
「合わせました」
「いただきます!」
「「いただきまーす。」」
「いただきます」
プシュッとお父さんがビールを開けた音が鳴る。
その後すぐにビールが喉を通る音が荒々しく鳴り、プハぁーと鳴きわざわざタオルを使わず腕で拭く。
「もぅ、あなたったら。」
「これが俺の楽しみなんだ。今日は1本だけだけだから許してくれよ。」
父の顔が段々と赤みを帯びていく。
「あら、どうしたの?お医者様にでも止められたの?」
「なははは、んなわけねーだろうがよ。明日ちょっと早いからさ、がははは。」
いつもなら早朝出勤だと愚痴を漏らすが、酒が入るとそんな事も笑いに変わるようだ。
ちなみに母さんはこの素面と酔っ払った時のギャップに惹かれたと前に言ってた。
あと、大人になったらぼくもこうなるだろうって言われたが、さすがにちょっと嫌だ。
「ははは、今日も母さんの飯は美味いなぁ、な息子達よ?」
「おいしー」
「うん、おいしいよ。」
「がははは。そうかそうか、がははは。」
「もうあんまり子供達に絡まないで下さいよ。」
「何だ、妬いているのか母さん?なははは。」
めんどくせ っとボソッと言ったような言ってないような。
お父さんには聞こえてないようだし、たぶん言ってないんだと思う、そう思いたい。
「そういえば、息子よ。」
唐突に思い出したように父が問いかけてきた。
「何だい、父よ。」
「風邪は治ったのか?」
「うん、十分休んで元気だよ。」
「そりゃあ、よかった。」
「看病してたのは私ですよ。」
「おう、ありがとう母さん。」
「私もちょっとしたよー。」
「おー、えらいなー。ほら、お前もちゃんと感謝しろよ。」
こう言うのは言われてするものじゃないと思うけど、
「2人ともありがとう。」
この気持ちは本物だから。
「あと、お父さんもいつもありがとう。」
「な、不意打ちとは、中々卑怯ではないか!さては貴様!、何かおねだりする気だなぁ?」
ははぁん、と得意げに言う父。
「いや、今は特にないよ。みんなと居るだけで幸せだもん。」
「お、おう…畳み掛けてくるとは中々やるな…」
呆気に取られたのか、何事もなかったように一口ビールを飲む。
「うおおおおお。お前は何ていい子なんだあああ。
これも母さんの育て方がいいからか?そうなんだろ?そうなんだな!うおおおおお。」
顔を腕に押し付けて大げさに泣き真似をする父の目元は潤んでいた。
「私も幸せだよー。」
「うおおおおおおん」
妹がさらなる追い討ちをかけてくる。
父の目の潤みがさらに激しくなり、やがて形となって袖を濡らしていた。
母はそんな父を慈愛の目で見守っていた。
妹は泣き喚く父の反応に満足してニコニコしていた。
その後はお父さんがお母さんとの馴れ初め話を始めて気付けば、みんな食事も終わり、お母さんが食器を片付け始めた頃。
お父さんの馴れ初め話はいつの間にか自分の思い出話になっていて、それを適当に聞き流していると、いつのまにかそのまま寝ていた。
一度は起こされたらしいが、全く覚えてなかった。
お風呂に入って、歯を磨いて、届けられてた連絡帳を見て明日の準備をして。全部お母さんの助けを借りて済ませ、それからベットで昔のお父さんのように寝入ったらしい。
目覚めは最悪。
起こしにきたお母さんに言われるがままに、顔を洗って歯を磨いて、着替えてから朝ごはんを食べる。
ここまで来ると、悪かった目覚めなど気にならず、今日からの新しい学校生活の事でいっぱいだった。
朝食を済ませ、登校用の班が集まる集合場所へ向かった。
そこで挨拶をすませ、同い年の子と喋ってる内に気付けばもう学校に着いていた。
上級生と別れて、それぞれ自分達の教室に向かった
席にそれぞれ名前が書いてあるので、自分の席はすぐに見つかった。
あ行だから、席は窓際。
おかげで席はすぐに見つかった。
だが、そこは既に誰かに座られていた。
その誰かは、ジーっと窓の外を見つめていたので、声をかけ辛かったが、初日だからと勇気を出して尋ねてみた。
「ねぇ、何してるの?悪いんだけどそこ僕の席なんだけど。」
誰かは振り返って、
「ああ、ごめんね。ちょっとそこにイモムシがいたから。」
誰かは素直に席を返してくれた。
「いいよ。ところで、君の名前は?」
「俺は大山友慈 だよ。」
本当、すみませんでした。
やっとのことさ後に始めた贈り物が何とか終わったので、久々の、約2年ぶりの更新です。
謝罪がつきません。
最初はキャラクター達には名前を付けない様にしようとしてたのですが、やはり難しいですね。
妥協します。
そんなわけで、拾い札の主人公の名前は、「青木 拓人」に決定しました。
これで、少しだけ円滑にストーリーを進められるかと思います。
あと、拓人くんの親の呼び方が「父、母」「お父さん、お母さん」とバラバラですが、基本口に出す時は「お、お母さん」で、状況説明などは「父、母」になると思います。
とりあえずは、私の書きやすい様に使い分けていきます。
読み辛かったらすみません。ご理解頂けるとありがたいです。
再開が遅れましたが、今後ともよろしくお願いします。
それでは




