過去の清算
知っている知らない友達、クラスメイト達。
俺は彼らと同じクラスで彼らと一緒だった。
親が両働きなどで預けられる所謂託児施設。
理由はそれだけではなかったが、俺たちはそんな事を気にせず無邪気に遊んでいた。
年齢や性別の区別もなく、小グループに分かれたりもするが、ただ遊んでいた。
何も考えず、遊ぶことだけを、楽しい事だけを…
1人、親が金持ちの子が居た。
玉突 珠雄。
もちろんその子ともみんなで遊んでいた。
だが、珠雄を狙った立てこもり事件が起きた。
犯人は4人グループ。曇り空の昼下がり。
それは唐突だったが、珠雄にとってはいつか起こるかもしれないこと。
それでも珠雄は泣いて俺たちに謝った。
「僕のせいでみんなを巻き込んだ!ごめん!」と。
「僕1人だったら良かったんだ!なのにみんなまで、本当にごめん!」
これを聞いた犯人の内の頭の良さそうな1人は、珠雄を問い詰め、『珠雄以外にも玉突家には後継者がいる』という事を引き出した。
珠雄は1人っ子だからと格好の獲物だったが、
玉突家も当然認知している。
だが、この家系は厳しく、そうなった時自分で解決出来なければ後を継ぐ資格がないと、言うだけ言って保険をかけているのだ。
なんともありがちだが、今はただ珠雄が不憫でならなかった。
まだ年齢が2桁をやっと数えたというのに。
そうして、1人、泣き出した。
「馬鹿野郎!どうして、どうしてこうなったんだよ!ちくしょう!」
不満を大声で漏らすのは齋藤藤丸。
こいつはいつも口に出る。いいことも悪いことも。
だから、犯人の癇に障った。
「どうして俺たちがこんな目に…お前さえ居なければこんな事には、お前さえ居なければ!」
「ッチ、ぅるっせーぞガキ!居なくてもいいのはお前の方なんだよ!」
1人、気性の荒い犯人が藤丸に銃を突きつけた。
「お前は所詮オマケなんだよ。なあ、見せしめにこいつ殺しとくか?」
恐らく残りの3人に問いかけたんだろう。
だが、返事をしたのは2人で、頭の良さそうな奴は首を振り、他のやつは嬉々として賛成、最後の1人はずっとソワソワしてしきり外を気にしていて話を聞いていない様子だった。
藤丸は震え上がっていた。
帰って来た返事に然程思考しなかったような素振りで気性が荒い1人は撃つことにしたようだ。
「じゃあなクソガキ、うるさくして俺をイラつかせたお前が悪い。あの世で悔いてろ」
「ひぃっ!」
パリンッ!
ガラスが割れたかのように鋭い音がなった。
「ゔっ!?」
藤丸があげた短い悲鳴のように犯人は短く呻いた。
まるで発作に襲われたかの様に倒れ込む犯人に、割れた酒瓶を突き刺す大山友慈。
頭から血を流し、胸には酒瓶が突き刺さっている犯人は一定方向を見つめたまま息をしていなかった。
友慈は割れた酒瓶を抜いて駆け出そうとしたが、
周りが呆然としてる中一人だけ早く冷静さを取り戻した犯人が友慈を撃った。
友慈の体は駆け出そうとした逆方向に飛んだ。
それから友慈は倒れたままピクピクと指先が動いているだけだった。
そうしてもう一発、と友慈にトドメが刺される前に、
死んだ犯人の手元から銃を奪って、
鬼頭幸は正確にヘッドショットをかました。
幸は思った以上の反動と撃ってしまったという事実に腰を抜かした。
「はぁっ…はぁ…はっ…はぁ…」
息が全然整わない。
動かない体に焦りを感じているのだろうか、だが残った犯人たちが待ってくれるはずもない。
俺たちの居る方に一斉に向かってきた。
1人はナイフを構え、1人は銃を構え。
震えた照準で放った幸の弾は外れ、代わりに幸を狙った弾は嶸山剛に当たった。
身を呈したのは剛だけでなく、俺たちの先生もナイフを構えた犯人に突進して行った。
予想外の突進に犯人は対応できずそのまま勢い余って先生と一緒に壁にぶち当たった。
その時、弾みで先生にナイフが刺さっていた。
犯人が先生を押し退け立ち上がろうとした時に友慈が犯人の頭を壁に押し付けた。
何度も何度も力強く。
ゴン!ゴツッ!ゴンッ!!
生々しい衝突音が響く。
「こうなったら皆殺しにしてやる!」
犯人の最後の一人が袋から小さなガソリンを取り出しばら撒いた。
そしてライターを付けてそこに放つ。
「ははははははははははははは」
薄君の悪いバカ笑いを高らかに、証拠隠滅も兼ねた業火が教室を包んだ。
いつの間にか止んでいた壁に頭を打ち付ける音は、友慈が力尽きたことで収まっていた。
壁には血と微小の毛が飛び散っていた。
そして犯人に寄りかかるように、呼吸が荒い友慈が伏していた。
先生は友慈を一瞥し寂しそうな顔を引き締めて、俺たちに指示を出した。
「みん」バンッ。
その指示が俺たちに伝わる前に先生は、狂った犯人の乱射に巻き込まれた。
バンッ、バンッ、バンッ、
立て続けに乱射された弾が教室のあちこちを飛び交った。
「イヤー!!」「きゃーっ!!」「うわあああああ!」
あちこちで絶叫、悲鳴があがる。
狙いは定めていないが人のいる方向に乱射された弾は何人かに当たり、何人かの命を奪った。
そして、最後に鳴り止んだ時、犯人は自分の頭にぶっ放した。
それを皮切りにみんながみんな、生きているみんなは声を上げて泣き叫んだ。
阿鼻叫喚。
誰が何を言っているか、分からなかった。
怖くて怖くて、ただ死にたくなかった俺は自分の事で必死で何も分からなかった。
バンッ。
犯人は動かなくなっているのなに鳴る銃声。
誰かが銃を口に加えて自分に放った。
再び絶叫があがる。
それに呼応するように天井が崩れ始める。
瓦解した柱が俺の上に落ちてきた。
もう意識が無くなりそうだ。
そんな時に、最後に見たみんなの顔は煤だらけで、火傷だらけで、涙で歪んでて、血塗られていて、絶望に打ちひしがれていた。
また一つ、と銃声が鳴ったのは俺の意識がなくなった後。
もうその後の事は何も分からない。
俺は、死んだ。
「が、あ、っ、ぁあ、あ、」
今の俺の顔は、ただ涙に、水と血の涙に濡れていた。
迫る吐き気を堪え、代わりに言葉にならない言葉を口から垂れ流していた。
「ふぅ…はぁ…はぁ…ふぐっ!」
落ち着こうとしても不意に襲う強烈な吐き気の波に邪魔をされる。
「どうだ?思い出したろう?」
「し、知らない…僕には関係ない…!」
サンタの、先生の顔が少し歪む。
「言い訳を。そんなに否定したいか、自分が死んだ事を?」
「違う、僕は僕だ!ゲホッ、死んだのは『俺』であって、いま、ここに生きているのは『僕」なんだ!」
「錯乱したか?」
「そうじゃないよ、僕はただ生きたいんだ、『僕』として。」
何故だろうか、自然と話ができている。
さっきまであんなに苦しかったのに、今は話したいことをはっきりと話せるほどに落ち着いている。
「だから、放っておいてよ。『僕』は『俺』じゃないんだよ、だから…お願いだよ…先生…」
「嫌だね。」
「うっ」
きっと今の先生ならそういうだろうと思っていた。
「だって、今のお前が居るのは、俺のおかげであって、お前の言う『俺』のおかげなんだから、認めろよ」
そして歪んだ顔は歪な笑みを浮かべる。
「そうしたら、見逃してやるよ、ふはははは」
「ふっ、いいよ。」
「お?」
「じゃあ殺してよ、僕を、そのために来たんでしょ。」
思い出したのは、「みんな」の記憶だけじゃない。
初めて見た、前の世界での記憶。
そして、前の世界で死んだ後にみんなで集まった教室。
そこで、みんなで話し合ったんだ、次の世界を生きるかどうか。
個人で決めることはできない。
連帯責任で、生きるか死ぬか、全員が全員の生死を話し合った。
その結果が、今、いまを生きている『僕』。
先生は、ある年齢、条件を満たした生徒から、僕らを殺していく。
どうしてかは未だ語ってくれてない。
でも、いつも、殺した後は寂しそうな、泣き出しそうな顔をしている。
そんな自分を見て、自分で笑ってる
今の先生は異常だ。
僕らの知っている先生のようで、まるで他人かのようなそぶりをする時がある。
先生は、『先生』なのだろうか?
だが、そんな先生は、僕ら2度にわたってみんなを生き返らせてくれている。
おそらく、みんなの話し合いで生きることが選ばれ続けるたびに先生は僕らを殺して僕らを生き返らせるだろう。
今は2回目の世界。
あの忌まわしい事件が起こったから。
僕たちにとっての2回目の世界。
だから、記憶を思い出したとき、自分が自分でなくなるのが怖かった。
今ここにいる人格が、2回目の世界の僕が、最初の世界の俺になるのが。
この記憶を受け入れたらそうなってしまいそうで、でも、こんな記憶思い出したら忘れることができるはずもなく、だからせめて、自称を『僕』にした。
それでも、僕の中にいる俺は抑制できず、時々出てきそうになり、今も油断したらすぐに我が物顔で僕を奪い俺になるだろう。
だから、どうせならここで楽になって、『僕』として死にたい。
叶うのなら、全てを忘れて、せっかくもらった生をただただ最後まで全うしたかった。
それがたとえどんな最後になろうとも…。
「変わったやつだなぁ」
まるで他人のように言い放った。
「しょうがない、ここで殺してやるよ。」
寂しそうな顔で薄ら笑いを浮かべ僕を殺そうとする先生を励ますように、
「ありがとう」 僕は
笑ってイった。
「ぐく、くそっぅ、ちくしょぅぅ…」
自分の生徒の死体を前に立ち尽くす俺は、何度味わっても慣れない痛みに涙を流し、
「ごめん、な、、」
謝罪を零し、
次に殺す生徒の下へと行く。
次に拓人に会うのは全員を殺してから。
もう二度と会えないはずの、会うことができるはずなのに、心に重くのしかかる。
自分の生徒に会うには、
自分の生徒と会う時は、
別れ。
その子と本来いるはずのないその世界から引き剥がす。
そうして、次の世界へと引っ付ける。
全て無理矢理に、ただ己のために。
人の生死を踏みにじり弄ぶ。
悪魔に魂を売った。
その時からもう俺は…
「ごめん。。。。」
オレンジ色のソラに吐き捨てた
後悔はないはずなのに願いがあふれる。
願いの場所で目を覚ました俺は、後に来る剛を歓迎し、それからずっとみんなが揃うのをただただ待っていた。
死んで、後悔を背負って、
だからきっと次の世界もあるだろう。
そこで僕は、次は俺はどう生きようとするのだろう。
少しだけ未来に期待する。
やっと全員が揃う。
結果が分かっている話し合いではつまらないと、先生が多数決をとると、次の世界に反対派が少数居た。
少しざわつくがそれを遮って先生が面白そうだと椅子取りゲームで勝敗を、次の世界を、俺たちの生死を決めることにした。
。。。。。。。
えー、どうも長らくお付き合いいただきありがとうございました。
そういう訳で、拾いふだ はここまでとなります。
サンタクロースの正体はただの本物の先生でした。
そして、後付に思われるでしょうが、贈りもののifエンドは2回目の世界のお話の最終話となります。
じゃあ本編は?となりますと、今後明らかになります。(というかもう答え出てた)。
まあ大体の予想はつくと思いますがね。
チラッと新キャラ出てますが、彼らもまた別の、彼らが主役のお話を考えていますので、私の更新速度が早ければいつかお披露目したいと思います。
所々グダったりしたり更新が途絶えたりしてすみませんでした。
もっと早くに終わる予定だったのに…
まあ予定は予定ですからね、私の力じゃ遠く及ばない予定を立ててしまっただけです。
でもでもそれでも、ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました。
もう言い尽くせません、けどくどいのでこの辺にしておきます。
何話か本当はくっついるのに離したりしてたら思ったより長くなってしまいました。
回収してないフラグなんかも回収していくので、今後ともよろしくお願いします。
それでは次は宣言通りに田舎の話をやろうかと思っています。
駄菓子屋の方は内容はおおよそ決まっているんですが、不定期更新、まあ書こうとすると本編のほうが頭の中で脱線してしまうので、波が来たらその勢いに任せておいおい書こうと思っています。
きちんと完結はさせますよ、、
それにしてもだいぶ時間がかかりました、コレを完結させるのも、田舎のやつを始めるのにも。
田舎のやつはどれくらいかかるでしょうか?
早め早めの更新は意識してますが、社畜なもので。。。
(まずはタイトルを考えなきゃ、、、)
えー、毎度あとがきだけはダラダラするするとかけるんですがね、これを本文に生かせたらいいんですが、それでは、
また
次の作品で会いましょう。
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