別れと決意
「しょうがない奴め。」
寺の陰から泣き叫ぶ子供を眺めて呟く
同時にこちらに気付いていたサンタクロースを睨みつける。
右掌をサンタクロースに向ける。
少しするとサンタは子供から離れていった。
「ふぅ」
サンタが視界から消えるのを待って一息ついた。
さてと、 あれだけ大きな声で喚いたのだから人が集まるのも早かった。
俺は出来る事をやろうとした。
こんな事に使っててこれから先心配になるが、今俺がそうしたいからそうする。
それが彼のためになるかは俺じゃ分からないが。
「お前の世界は、ここでいいんだ。お前が居る、そこがお前の世界だ。」
事態が収束し終わる頃に一人の子供と目が合った。
手招きしてみる。
意外と素直にこっちに向かってきた。
ちょっと心配になるが、今はありがたい。
「やあ、こんにちは。」
「こんにちは。こんな所で何してんの?」
「なに、ちょっとな。ところで君はあの子の友達かい?」
「友達だぜ。今日あったばっかだけどね。」
「それはよかった。俺は彼を見守ってたんだよ。」
「それでここに居るの?」
「そういうこと。まあそれももう終わりかな。」
「どうして?あいつ倒れちゃったじゃん、なんかヤバい感じだし。見守るんじゃないの?心配じゃないの?」
「ああ、だからだよ。それにもう心配なら要らないよ。」
「なんで?」
「君は彼とこれからも友達かい?」
「ああ、当たり前だろ。それよりなんで心配要らないの?」
「じゃあ彼が困った時に支えてやってくれ。そしたら彼も君が困った時に助けに来てくれる。それが今だ。」
「わかってる。それより。」
追求を諦めてくれたようだ。
「あんたはあいつとどんな関係なの?」
意外としっかりした子のようだ。
「うーん」
そういえば。
パッと浮かばないな。
"それなりの時間を過ごしたはずなのに"
「まあ話仲間かな?」
出てきたのはそんなものだった。
実際そうだし、彼は彼の愚痴や自慢、思い出なんかを通して良く知ってる。
俺は彼を知っている。
この世界の居る彼を。
「そうなんだ。ちなみにあいつの名前は知ってるの?」
そういえば。
意外と鋭く賢いようだ。
さっきから失礼だが、この子は俺の子供の頃とは段違いで頭がいいようだ。
ひょっとしたら今の俺より…いや、ない、かな?
「…お互い知らない方が案外気さくに話せるもんさ。」
「ふーん…」
じっくりと観察される。
誤解を生まないように下手に動けない。
「そんなもんかなぁ。」
「ああ、そうだよ。今だってそうでしょう。」
苦しいか?
「まあ、そういう事もあるね。」
「そうだろう?」
「じゃあさ、あんたはあいつがどうしてここに来たか知ってる?」
ギクリとなる。
直接聞いたわけではないが心当たりはある。
それに俺が入れ知恵部分もない事はないのかもしれないし。
この子には嘘を言ってもしょうがないようだし。
「まあ、予想はついてる。ここに来てそれが正解ってわかったけど。」
事実を言ったぞ、さあ。
子供相手に何を緊張してるんだろうな…
「あっそう。」
言葉とは反対に覗き込んでる俺の目を彼は真っ直ぐ見つめた。
逸らせない、俺はいつからこんなチキンになったんだ。
「分かったよ。元々あんたの言ってる通りにするつもりだったし、あんたの事も信用するよ。」
…この子は凄いな。
たぶん俺の正体にもおおよそ気付いてるんだろう。
「ありがとう。」
信用してくれた事よりも、もう俺じゃ助けられない彼を助けてくれる事に感謝した。
これ以上俺が彼に関わったらいけない。
「じゃあ、そろそろ行くよ。彼なら明日には目がさめると思うから。それに医者を呼んでも異常なんて見つからないよ。正常だからね。」
「うん、他のみんなにもそう言っておくよ。ちゃんとあんたの事は黙ってる。」
この子は本当に…
「うん、ありがとうね。じゃ。」
「さよなら。」
この子なら、彼に別れの挨拶は?なんて言うのかと思ったけど、それも見透かされてるのかな。
この子には頭が上がらないな。
凄いよ、本当に。
この子には大きな借りが出来ちゃったな。
それが返せないのが、後悔だな。いや、心残りか。
どっちも変わんないか。
彼には良い友達がいる、だから、もう俺が心配する必要はない。
彼にはもう俺は必要ない。
だから少し早足に寺を離れた。
長居しすぎても厄介だし、何よりも感情が足を動かした。
自分の中から何かが薄れていく。
彼の中で自分が薄れていく。
どちらも悲しい事だ。
悲しいから、感情が高まって、足が早くなって、胸が苦しくなって、目が熱くなる。
俺が世界を変えなくちゃ。
使命感が強くなる。
サラリーマンはもう終わりだ。
公園に着いて、1枚のカードを取り出す。
1枚の、何も書かれていない白紙のカードを。
それを持って電話BOXへ向かう。
「これでやっと、世界が変わりだす。
俺がこの世界を変える。
例えそれが少しだとしても、
例え誰かが後悔したとしても。俺は…
俺がぁ!やってやるぅ!!」
遅くなりましたすみません。
今回は普段より少ないですがそれでも遅れてしまいました。
中々ねるのが難しい上に何度か手直ししました。
そのおかげで時間を食ってしなったわけですが、それをさらに妨害しようと仕事が忙しくなって、まあ私のやる気ですが、そのやる気がでず、考えるだけ考えて書かないという。
そこをなんとかまとめれたんですが、それでも遅いですね。
そんなわけでこれからは少し更新ペースが下がるかもしれないです。
言い訳ですが、あらかじめ言っておきます。
話の内容的にもねるのが難しくなってきてるので。
フラグの配置や回収って思った以上に難しいですね。
あと、正しい日本語。
自分の感性が試めされます。
ほんと遅れてすみませんでした。
この調子じゃ今週の更新はこれだけになりそうです。
先に言っときます、あしからず。ご理解頂けるとありがたいです。
その分私も作品のクオリティ上げに努めます。
まあ言い訳なんですが、よろしくお願いします。
長くなってしまいましたね。
それでは ノシ