私とココの青年期
4匹生まれたうち、ココだけを残し他3匹はペットショップへ。
それぞれ良いご家族に迎えてもらえたようで、
わが家にはココと母親犬チョコが残った。
今考えたら、当時の私たちは犬の習性等全く把握しておらず。
チョコは自分のことを犬だという自覚すらなかったらしく、
自分の子供たちに興味を示さなかった。
育児放棄されたココはたくましく育ち、
ある程度大きくなった時点で順位付けをしたようだ。
母親であるチョコは母親と認めてもらえず、ココよりも下の位置づけとなった。
そして私も。
生後4カ月くらいたった時、ココに手を噛まれ思わず
『ぎゃー!!!!』と叫んでしまった。私もまだ子供だったので、と言い訳をしておく。
犬はこうなると、『こいつは自分より下だ!』と思うらしい。
それからというもの、抱っこをすると唸られ、顔を近づけると唸られ。
私も思春期に入ったばかりで、意地っ張りだった。
ココに見向きもせず、自分のことで精いっぱいだった。
中学に入っても部活帰りに顔を出す程度。
その頃わが家には子猫が家族の仲間入りをしており、そちらに夢中になっていた。
ココのことはずっと、気が強くプライドが高い犬だと勝手に思っていて
自分とは合わないんじゃないかと思っていた。
高校に入り、母親犬のチョコが糖尿病になった。
1年程看病したが、結局8歳で天国へ逝ってしまった。その時のココの様子を今でも覚えている。
それまではずっとチョコのことを無視し続けていたのに、いざ遺体に対面させると
けたたましい声で鳴きだしたのだった。
まるで『どうしたんだよ!!起きてよ!!』と言っているような。
それ以来、ココは突然おとなしい犬になった。
まるで気が抜けたような。私たちも大学に入ると忙しくなり
誰もココに構わなくなった。
今なら分かるが、犬という生き物は常に家族と寄り添いたい動物なのだ。
しかしあの頃、私も家族も全く分かっていなかった。