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 背中がかゆくて目が覚めた。床には昨日まき散らした服がいっぱい。その中から緑色のコーデュロイパンツを拾い上げ、脚が凍る前に履く。靴下は昨日ちょっとだけ履いたやつ、洗濯するのがもったいないから。寝間着の上は脱いで、キャミソールのまま顔を洗う。冷えた指が顔に当たると、きゅっと毛穴が締まる気がして、洗う時には開いているほうがいいんじゃないかと思ったり。とにかく、早く保湿しないと皮がめくれちゃうから、りんごはまだ食べないでおく。


 窓から見える景色は、いつの間にか枯葉だらけ。隣の家のおじさんは冬毛に変わっているし、たぶんあの枯葉のベッドでうずうずしている黄色い物体はポメじゃないかな。お気に入りの白いニットを着て、髪をまとめる。お団子はできないから、ただぐるぐるしただけの。昨日買っておいたボルドーの口紅を薄く塗って、りんごを齧りながら家を出る。鍵と携帯と財布だけあれば大丈夫。


「おはよう」

白くてふわふわの毛に変わったイエティは、今日も庭の木の下で本を読んでいる。

「おはようございます、1年ぶりの冬毛だね。」

おじさんの冬毛と自分のニットが同じ色だと気づかれる前に足早に立ち去る。


 広場の枯葉の塊から飛び出したのは、やっぱりポメだった。

「ねえ、今日も図書館に行くの?」

「うん、そうだよ。」

尻尾を振って枯葉を散らす毛の塊を抱き上げて、いつものベンチに腰掛ける。りんごを食べ始めると、膝の上のポメがじーっと見つめてくる。

「それさ、芯の部分残るよね?」

「うん、硬いし美味しくないもん。」

「もらってもいい?」

「いいよ」


 りんごの種を食べたら、この子のお腹からりんごが生えてくるかな?それとも、あとで種のまま出てくるかな?

「あー、おいしかった!......ねぇ、」

突然不安そうな顔をして

「僕、種食べちゃったけど、お腹からりんご生えたりしないよね?そしたら僕、りんごの木になっちゃうよ!」

口の周りを汚したまま慌てている姿に、くすっと笑ってしまった。

「さぁね、たぶん...私は前にスイカの種を飲み込んだことあるけど、まだ生えてこないから大丈夫だと思うな。」

ポメは黒い口の周りについたりんごの屑を舐めながら、満足そうにしている。

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