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43強い決意


しばらく二人で見つめ合う。

「もちろん」と答えたかったが、あまりにも突然の頼まれごとに即答せず逡巡してしまった。


「あぁやめだ。やめだ」


黙っていたことが拒否と捉えられたのか、肩から手を離してぶっきらぼうな態度に変わる。


「少し飲みすぎたみたいだ。さっき言ったことは忘れてくれや」


真剣な雰囲気はどこへやら、酔っ払い特有の雰囲気に変わる。


「まぁガルラとは村にいる間は仲良くしてくれよ。あいつはアレでも寂しがり屋だからな」


ジャックさんは俺をすり抜けて、やさぐれ気味にそう言った。


「あの…!」


俺は考える前に振り返り、ジャックさんの後ろ姿に声をかける。

何だかそうしないとジャックさんと二度と話が出来ないような気がしたから…。


「なんだ…?もう話は終わっただろ?」


振り返ることもなく、投げやりに返される。


「俺…ガルラに何回も助けてもらったんです!」


「だからどうした?」


「まだ会って間もないのに、騙されようとした自分を救ってくれた。明るく話しかけてくれた」


「あのなぁ…。何が言いたいんだ」


「友達だって言ってくれたんです!」


右も左もわからない自分を励ましてくれた友達。

ヤフトコに騙されたときも、ドワーフさんに詰問されたときも助けてくれた友達。

俺は、その友達を…。優しくて支えてくれた友達を…。


「俺はその友達を助けたい。助けてもらうばかりじゃ嫌なんです!!」


もしも過去に囚われているなら救ってあげたい。

会ったばかりで思い上がりも甚だしいかもしれないけれど…。

それでも、知ったからには何かしてあげたいんだ。

この異世界で初めての友達だから。


「一緒に村を出ると約束はできませんが、ガルラと話してみます。それから考えます。だから、ガルラのことは任せてください」


「そうか…」


ジャックさんはゆっくりと振り返る。


「ガルラは、いい友達をもったみたいだな」


優しくニカッと笑っていた。


「ぼうず…。名前はなんだ?」


「アラタです」


「そうか…。アラタ!ガルラのこと頼んだぜ」



ジャックさんは俺の肩を優しく叩く。


「はい!」


俺が返事をすると、ジャックさんは満足した表情をしていた。


「じゃあ、そろそろ戻るか。長話に付き合わせて悪かったな」


「そんなことない」と否定しながらジャックさんを追って室内に戻り、ジャックさんの部屋前まで一緒に移動する。


「まぁ何かあったらいつでも言いな。しばらくはこの宿にいるからな。相談くらいならのってやる」


ジャックさんはそう言うと自分の部屋に戻っていった。


「あっ…ジャック。遅いから何かあったかと思ったぞ」


ジャックさんの部屋からは、声が聞こえる。


「うるせぇな。レイル…。お前は俺の親か何かか?タバコだよ。タ・バ・コ!!」


「いくら何でも吸いすぎじゃないか!?」


「いいんだよ。色々とスッキリしたぜ」


「はぁ〜タバコ代だってバカにならないんだからな」


「うるせぇ!祝いのタバコだと思って大目に見やがれ!」


ジャックさんの声色は、トゲがありそうで優しいものだった。


部屋から離れ、本来の目的だった鍵のため階段を降りる。

何が出来るかはまだわからないけど、自分にできることをしよう。

階段を降りながら強い決意を胸に抱いた。

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