41バルタさんの死
「死ぬ原因?」
「あぁそうだ」
ジャックさんは再度、煙を吐き出す。
そして、怒りに満ちた顔で口を開く。
「十年くらい前に、ルーキーの訓練場って呼ばれるくらい弱い魔獣しか出現しねぇルサレナ山って山から、推定危険度八以上の魔獣反応が突如として出現しやがった。ただ元々平穏な場所であるルサレナ山の付近のギルドには、危険度八以上の魔獣と戦える守護者はいなかったんだ。そこで危険を感じたエゴの塊である貴族連中はギルドに迅速な討伐を命じた。本来危険度八以上の魔獣が出現した場合は大人数で討伐するのが通例だ。だが、国の操り人形になってたギルドは、貴族の護衛完了を報告するためルサレナ山近くのギルドにたまたまいたバルタさんに、緊急依頼を出したんだ。『至急討伐せよ』ってな。バルタさんは断ることなく単身で山に向かっちまった」
「単身で向かったんですか?」
「あぁ、危険度八以上の魔獣じゃ、力のないやつはすぐにやられちまうからな。ギルドの狙いとしては、無駄に人材を減らすより、戦える守護者を一人向かわせて、その間に貴族連中を避難させるって魂胆だったんじゃねぇか?胸糞悪い話だがな」
ジャックさんは再度タバコをもみ消して、またタバコに火をつける。
タバコの一本二本じゃ収まらないピリピリとした感情を感じる。
「その後、各支部から集められた俺を含む腕利きの守護者たちが遅れて到着するとな……見つけちまったんだ……バルタさんがうつ伏せで倒れる姿をな……」
ジャックさんは静かに煙を吐き出す。
最悪な結果になったのだろう。
悲壮感に包まれたジャックさんに二の句が継げない。
「うつ伏せで倒れたバルタさんの向かいには、四つ足の大型魔獣が倒れてやがった。おそらく相討ちだったんだろう。仲良く倒れていたよ」
フフッとジャックさんは乾いた笑いをした。
「でもギルド連中はバルタさんの死を悲しむよりも、大型魔獣の討伐に喜びやがった。『犠牲はあったが国を守ることが出来た』ってな。馬鹿じゃねぇか……。バルタさんはこんな連中のために死んでいい人間じゃねぇんだよ。太陽みたいな眩しさで照らしてくれるすげぇ人なんだよ。クソったれがよ」
感極まったジャックさんは大声を出していた。
酒を飲んでいたこともあってか、暴れだしそうなほど乱れている。タバコを持っていない方の手を顔に押し付けて涙声混ざった声で暴言を吐いている。正直、見ていられなかった。




