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勉強しなくてよかった

僕は今、控えめに言って「幸せ」だ。

なぜなら、(きみ)と出会えたから。



「遊んでばかりいないで、勉強をしなさい!」

長男が中2になった夏、あまりの成績の悪さと怠惰な生活態度を見かねて、ひどく怒鳴りつけた。

ゲーム、スマホを取り上げ、机に向かわせた。

嫁も数日は静観していたが、家庭内の重い空気と、中2の夏にスマホを取り上げられ、満足に友人と連絡も取れない息子を不憫に思い、僕を諭した。


「あなたは中学生の頃、勉強していたの?」


僕は度々「中学時代は全く勉強せず、宿題は一度も提出したことはないが、テストは平均点以上取れていた」などと、自慢にもならない自慢話を嫁にしていた。

長男は宿題は提出しているが、成績は“のびた”や“カツオ”並であったため見かねたわけだが、人並みに勉強ができるからといって、宿題を提出しなかった僕より、よっぽど素直で真面目である。


「勉強しなくて今困っているの?」


と、嫁は続けた。


決して裕福ではないが、決して貧しくもない。

もっと勉強しておけば、と考えたこともあったが、学がないおかげで今は学ぶ楽しさを覚え、充実した日々を過ごしている。


何より、中学時代に勉強をしていたら、嫁に出会うこともなかっただろう。

そう思うと「勉強しなくてよかった」と心から思う。


翌日、「勉強しなかったことを後悔しない出会いがありますように」と願いを込め、取り上げたゲームとスマホを長男に返した。

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