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【書籍化】転生チート王女、氷の魔術王に溺愛されても冒険者はやめられません!~「破壊の幼女」が作る至高の魔法薬が最強すぎるので万事解決です~  作者: りょうと かえ
第4章 チートな新生活、始まります!

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15/35

15.新生活へ

 ライラはアシュレイとともに王都ラルダリアに住むことになった。

 ニコルたちが帰ったあと、王宮の広間でライラはアシュレイにせがむ。


「……広いところがいいでしゅ」

「部屋はもちろん広いが……」

「そうじゃないでしゅ。工房が欲しいんでしゅ」


 ライラの言葉を聞いてアシュレイが眉間を揉む。


「工房だと? もしかして魔法薬を作るつもりか」

「もちろんでしゅ! 魔法薬作りは止めませんでしゅよ!」


 ぐっと拳を振り上げるライラ。

 アシュレイの娘になったとしても魔法薬作りはしたかった。


「ふむ……しかし、だが……」


 アシュレイは色々と考え込んでいるようだった。

 そこにモーニャがささやく。


「主様の魔法薬はそれはそれは凄いですから〜。そこはもう、おわかりですよね?」

「……それは間違いない」

「あれやこれやの魔法薬を主様が作って、王国に活かせば……主様は魔法薬が作れる、お父様も国が富む。そうですよねー?」


 モーニャが上手く乗せる。

 まだまだ舌っ足らずなライラにはできないことだった。


「確かにな……」


 アシュレイが組んだ腕を解く。


「反対派をおとなしくさせるためにも、分かりやすい【成果】は必要か。諸外国にも魔法薬を輸出できるようになれば……」

「えーと、そこまでは言ってないような〜?」

「冗談だ」

「そうは聞こえなかったでしゅよ」

「面倒なことは俺に任せておけ。しかし、いいのか? 遊ぶよりも魔法薬作りで」

「魔法薬を作るのがライフワークでしゅ!」

「……ふっ、そうか」


 アシュレイが意味深に目を細める。

 それがサーシャも同じことを言ったことがあるとライラが知ったのは、もっとずっと後のことだったが。


「なら早速、工房を作るか」

「何週間くらいかかりましゅ?」

「明日にはできているぞ」

「ふぇ?」


 翌日、アシュレイの言葉通りライラの住処である奥の宮に工房が設置された。

 その工房、ライラの家の10倍の大きさがある。ライラもモーニャも開いた口が塞がらなかった。


「は、早すぎません?」

「魔法先進国だからな。奥の宮に建てるならすぐできる。土の魔術で建物を、水の魔術で水道も完備だ。もう使えるはずだ」


 アシュレイが工房の中を案内する。


「うわぁ〜〜!」


 ピカピカの工房、デカい水道にコンロ。かまどの類もある。

 もちろん棚やタンスも数十、嬉しいことに書架もあった。


「細かな備品はこれからだが、ライラの家から持ってくるものもあるだろう?」

「もちろんでしゅよ。今日、取ってくるでしゅ」

「それならシェリーを側仕えにすればいい。彼女なら諸々の仕事を任せられる」

「あいでしゅ」


 なんとなくシェリーは雑用係っぽい。


 だが、今のライラも王宮知識はゼロである。

 忙しいアシュレイに全部やってもらう訳にもいかない。自然な選択と言えた。


 ということで、ライラの工房作り――もとい、お引越しが始まった。

 とはいえテレポート薬で行ったり来たりするだけであるが。


「使わないのはどうしましょうね〜」

「時間があるときに、整理すればいいでしゅよ。とりあえず王宮のこーぼーを完璧にセッティング、でしゅ!」


 幸い、家具やら服は王宮に用意されている。

 移動させるのは魔法薬関連だけだ。


 ライラとモーニャはドタバタしながら品物を森の家から王宮に移していく。

 家の瓶をひっくり返し、モーニャが確認する。


「えーと塩ダレ、にんにくダレ、生姜ダレ……これも要ります?」

「要る! とっても要るでしゅ!」

「まぁ……タレは継ぎ足しがいいみたいですからねぇ」


 この世界にもソースの継ぎ足し概念は存在する。

 実際には中身は入れ替わり、意味はないらしいが。しかし自作のタレはライラには捨てられない。

 合流したシェリーとその配下も必死になってライラの手伝いをしている。


「荷物の開封と並べるのは私にお任せくださいっ!」


 元々騎士だけあって、体力面ではバッチリだった。

 で、その中で魔法薬関連の素材があり――。


「おっと、これはあたちがやるでしゅ」

「いえ、お気遣いは無用ですっ! やらせてください!」

「これはギガントボアの肝でしゅ。ぶちまけると皮膚がてーへんなことになっちゃうでしゅよ」

「ひぇっ!? な、なるほど……」

「あっちの隅にあるのはヤバめな素材でしゅから、触らなくていいでしゅよ」


 こくこくと頷くシェリー。こうして半日ほどでお引越しは完了した。

 疲れからか、さすがのモーニャの尻尾もへたりとしている。


「ふぃー、終わりましたぁ……」

「ご苦労様でしゅー」


 すっかり夕方になった頃、公務でいなかったアシュレイが工房に姿を見せる。


「おお、すっかり変わったな」

「とーさま! どうでしゅか!?」

「うむ、素晴らしい。道具も素材も揃っている……これは全部、お前の家からだな?」

「そうでしゅよ」

「だと思った。素材ひとつ、道具ひとつの魔力が高純度だ。これだけの品物はそうそう揃えられるモノではない」

「ほぇー、やっぱり分かるんですねぇ」

「大学よりも設備は良さそうだな。……危険なモノも多そうだが」

「ぎくっ」


 アシュレイが目ざとく、危険物の棚を見やる。

 そうだった、魔物との最前線に立つアシュレイが魔物素材を知らないはずがない。


「あとで宮廷魔術師に結界を追加で張らせよう。それと、この区画は許可のない人間は立ち入り禁止だ」

「異論はないでしゅ」


 それはライラのほうからも頼むつもりだった。

 高価な素材も多いし、毒物が盗まれたらシャレにならない。


「俺もお前の魔法薬の腕前を知らなかったら、許可してないくらいだ」

「扱いには気をつけるでしゅよ」


 ライラも魔法薬作りで気を抜いたことはない。危ない目にあったことはないが、下手すると大惨事になるのはよくわかっている。


「シェリーも気をつけるでしゅよ」

「は、はい! そう思って宮廷医にも話しは通してあります! 何が起こっても――はい、対処できることなら大丈夫です!」

「安心でしゅね」

「宮廷医が不要とは言わないんだな」

「それはシェリー次第でしゅ」


 ということで工房のアレコレが一段落した。

 本格的な稼働は明日からだ。


「さぁ、頑張るでしゅよー!」

「はーい!」


 これがヴェネト王国に新しい嵐を巻き起こすことになるとは、さすがのアシュレイも予想していなかった……。

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