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夜空に咲く約束
夜になり、俺たちは花火大会の会場に向かった。
浴衣姿の人々が行き交い、屋台の明かりが賑やかに輝いている。
「ねえ、かき氷食べよう!」
柚月が屋台を指さす。
「ブルーハワイとイチゴ、どっちがいい?」
「んー……半分こしようか。」
二つの味を一緒に楽しみながら、俺たちは夜空を見上げた。
「始まるね……」
遠くで合図の音が響いた。
次の瞬間、空に大輪の花が咲く。
「わぁ……」
柚月の目が輝いた。
俺は、その横顔を見つめる。
「綺麗だな。」
「うん……すごく。」
花火の光が彼女の横顔を照らしていた。
「透真……ありがとう。」
「何が?」
「一緒にいてくれて。こうやって、一緒にいられて。」
柚月はそっと俺の手を握った。
俺もその手を、ぎゅっと握り返した。
花火が消えても、この瞬間だけは——
ずっと、心に残る気がした。