一年後
「そっち行きましたぞぉ!」
こっちにウォートロールが2体向かってきている。
声をかけたガダルも複数体のウォートロールと戦闘中だ。こっちには手を貸せないようだ。
「仕方ないか…『深淵より湧き上がる闇の力を我が手に集結せし時、漆黒の炎を剣に纏わせん。我が意志が宇宙の闇と共鳴し、無限の力を放つ。この炎は全てを焼き尽くし、闇に満ちた世界を揺るがす。この漆黒の炎により絶えぬ力を示さん。 アザゼル!』」
俺は刀に漆黒の炎を纏わせ、迎え撃った。
この炎は触れた対象を漆黒の炎で焼き尽くすものであり、別に素材を欲していない俺は奴らを消し炭にするため、奴らの攻撃を避けつつ、斬りかかった。
トロールの攻撃は大振りで避けやすいものの、当たったら最後、身動きが取れなくなるほどのダメージを負う。何度も戦っているが、一度だけ食らったことがあるが、痛みで意識を失い、戦闘後に結構怒られた。
一匹目を敵の武器に飛び乗って、首を落とすと2匹目は地面に降りる瞬間を狙われた。敵の方へ飛び込んで攻撃を避け、敵の股を通り、敵の背後から首を落とした。
別に俺は武士でもなければ、騎士でもないため、卑怯などという思いは一切ない。
「何度見ても貴方の魔法は…」
「なんだよ。」
自分も敵を打ち破ったガダルが呆れたようにこちらに歩み寄ってきた。
「私が以前に伝えた魔法というのは、あくまでも肉体強化で俊敏性や身体を強固にする程度…だったのですが。」
「勿論、それもやってるが。鎧とか重くて着たくないし。でも、お陰で戦いやすいぞ。」
「貴方はもはや魔剣士ではなく、勇者に近い。恐ろしい限りです。」
「なるほど…一度ステータスでも見てみるか。ステータスオープン。」
…レベル154。そうか、154…む?
「な…なぁ、ガダル?」
「なんです?」
「俺って今レベルどれくらいの予想でいる?」
「まぁ、1年とはいえ、これだけダンジョンを回ってきたんですし、100レベルに到達しているんでは?」
「154だ。」
「え…?154ですか?」
「あぁ。それに加えて、職業の欄に暗黒勇者って書いてあるんだが。」
「レベルは驚きですが、暗黒勇者ですか。なら、大丈夫ですね。」
「どういうことなんだ?」
「暗黒勇者とは私が元いた世界では、魔王の四天王の職業の一つであった。そいつでもレベルは150だったが。そいつは歳が40を超えていた。貴方は25。後、15年もある。一体どこまでいってしまうのか…。」