俺は日常的に魔法を行使してしまっていた
「それでは…魔法の特訓はダンジョンでやるとしましょう。」
「とりあえず、じゃあ、そこまで案内してもらおうか。」
「ええ。こちらに…『ゲート』」
彼が右手をきげると円状の青いゲートが発生した。
俺はガダルさんについて中へと進んだ。
「うわぁ…スゲェや」
ゲートを進んだ中は一面草原が広がっていた。
「これは最下級ダンジョンですので、出てきてもゴブリンぐらいでしょう。大貴様の修行にはぴったりかと。」
「なら、まずは真剣に慣れることから始めたいのだがいいか?」
「ええ。まずは準備運動ですな。ちょうどそこにゴブリンが数体おります。あれで慣らしてみては?」
「そうさせてもらおうか。」
俺は刀を抜き、下段に構え、両足を肩幅の2倍とる。
そして…呼吸整え、集中する。
すると、ゴブリンの正確な位置と的確な攻撃ルートが見える。これは昔から感覚で出来てきた能力だ。
「いくぞぉーー!!」
俺は走り出した。俺が集中している時の走りは普通の数倍の速さを誇る。もちろん、その後はヘトヘトで動けなくなるのだが…
俺はコブリン達が反応する前に先頭にいた奴の首を切り落とし、流れるように他のゴブリンも切り捨てた。
後から走ってきたガダルは驚いたような顔つきで俺の両肩を掴むと顔を輝かせて…
「大貴様!今貴方は、無意識の中で探知魔法、肉体強化魔法を同時発動させていました。貴方は十分に魔法を扱えております。」
「あれが魔法…?でも、魔法って詠唱が必要なんじゃないの?」
「確かに詠唱したほうが強力になりますが、魔法で本当に大切なのは正確にイメージすることなのです。」
「イメージ?」
「大貴様は、火が燃える要因を知っていますか?」
「空気中の酸素に引火しているからだろう?」
「では、炎の色の違いは?」
「多くの酸素がある場所で引火する火は青くなりやすく、少ない場所では赤くなりやすい。火事で赤い火になるのはこの要因によるものだ。」
「そう。その仕組みを知っているのはこの世界の知識によるもの。魔法を知る世界ではその知識は存在しない。酸素という知識はないからね。」
「つまり、イメージがあれば詠唱しなくてもある程度の強さの魔法を発現できると?」
「ええ。では、その形で進めていきましょうか。」