7:ドワーフ
俺はドワーフに用があって来た。
王子は外へ出て行った。ピュアで助かったぜ。
奥の方で武器を作っている奴がいる。
ドワーフって凄えよな。
だって武器を作れるんだよ!
てか、早くこっちの方まで来てくれないかな。王子に怪しまれるだろ。
「久しぶりだなドワーフ」
幻影魔法を解いた。
あ、魔力が戻ってくる感じがする。一日中使っているから何気に疲れるな。
ドワーフとは100年前くらいからの知り合いだ。
俺ってそんなに生きているんだね。
「魔王様、お預かりしていたものをお返しいたします」
俺が求めていたものを持って来た。
魔法武器を持っていたけど預けていたから。
目の前にあるのは完全に闇属性の剣。
俺が使っていたのも魔法剣だから王子に教えるのが楽で助かるなー。
「漆黒の劔......。預かってくれてありがとう」
「いえ、魔王様に言われた事なので当たり前です。とても綺麗だったので驚きました」
それは......一度も人間を斬っていないから。
そんなグロテスクな事をするわけないじゃないか。
これ以外にももう一個用がある!
「魔導師の杖をもらいたいのだが......」
「魔王様は無詠唱で使える筈ですが」
はい、その通りなんです。
無詠唱って楽だから覚えといたほうが将来役に立つ。
まあ、欲しい理由はしっかりとあるのだ。
「あの王子の世話係だ。持ってた方が怪しまれないだろう」
「そういう事であれば、少々お待ちください」
「あ、そうだ。面白そうな事ってないか?」
奥の方で杖を探しているドワーフに話しかけた。
こちらをチラリと横目で見て杖を持って来た。
「面白そうな事ですか。面白くはないですが奴隷というものが最近貴族の中で流行ってるみたいですよ」
「そうか、ありがとう」
「こちら女神の涙をふんだんに使った魔法の杖でございます」
「あ、ああ......感謝する。なんでこんな物を持っているんだ」
「夜に見張りをしまして」
女神の涙、それは星の降る夜にだけ取れると言われる高級石。
これを使った武器はなかなか高価で、魔力制御が楽にできる。
立派な杖を頂くことができた。魔法剣の金だけを払う。
漆黒の劔の存在忘れていた。
適当に空間にでも入れておこうか。
「魔王様、お気をつけください」
「忠告感謝する」
扉を開けたら王子が魔法も練習をして待っていた。
こちらを見ると練習をやめて飛んで来た。
「やっと来たー!」
「遅くなりました」
「本当に遅かったよ......魔法剣は?」
魔法剣を王子に渡す。
「この剣を無くさないようにしてくださいね」
無くしたら、絶対に許さない。
「分かってるよ。早く帰ろ!」
「まだ、買い物は終わってませんよ」
残念ながら、今日は魔法剣を使えそうにない。
漆黒の劔ネーミングセンスなくてすみません......。