6:魔法武器
一昨日に浄化された水のおかげで水問題は解決した。
いつか食べ物問題をどうにかしないといけないが、今日は王子の家庭教師の日だ。
家庭教師じゃない日は出かけまくっている。
ノックもされずに扉が開いた。
「おーい、家庭教師!」
部屋に入って来たのはブルーライズのレイ王子。
俺、さっき起きたばかりで浄化魔法をしみじみと思い出してたんだけど。
王子は、まだまだ7歳で子供だが見込みのある奴。
そこらへんの7歳児よりも少し体は小さいけれど......すぐ伸びるな。
少し我儘な気もするが......魔王軍に憧れているらしい。
魔王軍に憧れる7歳児が何処にいるか!
「今日はなんの魔法を教えてくれるの?」
王子はワクワクとした顔で聞いて来た。
「そうですね......。今日は、魔法武器を扱いますか」
「やったー!行こうぜ」
「顔を洗って、歯を磨いて、しっかりと整えてください」
王子はムスッとしたまま返事をした。
このくらい王子としてしっかりとしてもらわないと俺が怒られる。
まず、魔法武器を買いに行かなくてはならない。
お金は......収入がいいので持っている。
「準備出来た」
「......私の準備が出来てないので朝食を食って来てください」
「ちぇ、わかった。食べてくる」
なんか、前より準備が早くないか?
めんどくさがりだから俺も遅く準備しようと思っていたのにもう出来てるとは思わなかった。
朝食は、部屋で食べたから王子が来ないようにロックをかけた。
「ねぇ」
「なんですか?」
「僕、国の外側に出た事ない」
門の前まで来てしまったし、魔法武器ってなかなかない。
作ることも可能だけど、怪しまれるから作れない。
外に出ることを慣れてもらったほうがいいって事で連れていく。
「でも、国内でも買えるよ。魔法武器変えるって聞いたことある」
確かに国内でも買えるは買えるが......。
俺は腕の良い武器職人を知っているからそっちのほうがいいだろう。
お得意様で安くしてくれると思うし。
俺が迷った森とは違い、妖精の森と呼ばれているところの奥地にある。
「私がお世話になった武器屋です」
「こんなとこ来たことない」
なかなか人間は立ち寄れないと思うし、行き方をまず知らない人が多い。
此処にはドワーフが住んでいる。
俺が結界を張っているから魔物は来ないようにしている。
「魔法武器は強いですよ。魔力を込めるだけでいろんな効果があります」
「例えばどんな?」
「そうですね......王子が使える炎魔法の力を込めたとすると、そのまま炎の剣となります。
魔法武器でないと魔力を込める事が出来ません」
「奥が深いって事なんだね。難しい」
結構簡単に説明してやったのに。
魔法武器は何かを切るたびに豆腐のように思える。
俺も持っているが此処に預けているから今は無いけれど。
いつか魔法武器をしまえるように時空間魔法でも教えてあげよう。
「これは?」
王子がとったのは刀だった。
「其方は東國の武器、刀というものです。そちらは魔法武器では無いですよ」
「初めて見た......刀」
「王子が使えるようになるのは此方の魔法剣です」
武器にも合う合わないがあるから一番簡単な魔法剣にしといてもらおう。
「じゃあ、これが良い」
話のわかる奴で助かった。
「少し外で待っていてください」
「はぁーい」
俺はドワーフと話があるから。