5:浄化魔法
未だに王子には認めてもらえてない......気がする。
ビシバシといくから、取り敢えず頑張れ。
そんなこんなで王子を連れてきたのはなんとも汚い水道。
まるで下水道のようだ。いや、これは下水道でいいんじゃないか?汚ねえし。
王子は不満げに俺を見た。
「なんで俺が此処に来ないといけないの?」
「ブルーライズは王子が背負ってますから」
まだ背負ってはないけれど。
本音は偉そうな口を聞いた罰ゲームだけどそんなの言うわけがない。
だって言ったら叩かれそうじゃん。俺の平和な生活とおさらばしてしまう。
下水道には魔物がいるわけでもなく、ただ汚いのだ。
奥に汚い原因があるから浄化魔法を使おう。
王子に最初出す課題は浄化魔法の使い方。
しかしまあ、疲れるから頑張れ。
「此処ですね」
「なんでそんなに平然といれるんだよ」
匂いがキツイから王子は顔をしかめていた。気持ちはわかるが今は我慢してくれ。
俺は結界を張っているのと浄化魔法があるから無事。
王子にもそのうち結界を教えとこうかな。
「王子は浄化魔法を覚えてもらいます」
「無理に決まってるだろ!どれだけ魔力量が多くても覚えられないと言われた神聖な魔法だぞ」
確かに浄化魔法は難しい。俺も覚えるのに1年はかかった。
俺の時も汚いのが出来た時に覚えたことがある。
コツを掴めば簡単だから、いい加減やる気出せ。
浄化魔法、使えるとめっちゃかっこいいから。
「魔力量の少ない王子でも使える方法があります」
「本当に?!教えて、早く教えてよ!」
魔力を一箇所に集める方法だ。
簡単なのだがこれをやる人は実際少ない。なんでだろうね。一箇所に集めるっていう感覚がないのかもしれない。
「指先に魔力を溜めてください」
「......わかった」
「浄化魔法は適当にカタルシスとでも唱えてください」
人間はすぐ詠唱をしたがるから言っておく。
俺は詠唱をせずに使うから実際如何なのか知らないけど。
カタルシスは浄化という意味があるらしいしちょうど良いのではないか。
「カタルシス!」
王子の周りが少しだけ綺麗になった。
王子、頑張ったと思うけど......でもやっぱり魔力量が足りないみたいですね。
「全然出来ないよ!」
「浄化魔法って神聖な魔法なんですよね。なら使える方が凄いのではないのでしょうか」
「今迄、使えなかったから......嬉しい」
三分の一も浄化は出来なかったが、俺が残りの部分を浄化しようと思う。
そして浄化魔法はこれから使えるように練習してもらおう。
使えると便利だから、覚えておけ。
「浄化魔法」(分かりやすく詠唱)
「見る見るうちに、綺麗になっていく......!」
「此処まで出来るようになってくださいね」
冗談に決まっているが。
「無理に決まってんだろ!でも......これから、よろしく」
なんとか、王子に認めてもらうことができた。
これから厳しくやっていくからついてくるのが楽しみだ。
冗談を信じるって王子はピュアか?