49:全てにおいて、1番上とされる者
幻獣のところでおよそ3日くらい過ごした。
毎日毎日美味しい料理に、とても綺麗な景色を見て此処から出ていきたくないと思うくらいのおもてなしをしてもらった。
本当に此処から出ていきたくない。
「ありがとうございましたー!」
『いつでもおいでください。そして困った時にはソナタの空間魔法でお呼びください』
「本当に、なにからなにまでありがとうございました!」
今日は神様のところへ向かうことにした。
今決めたから行き方はわからないけどきっと大丈夫。
「あ、幻獣さん神様の居場所分かったりしますか?」
『我らより詳しい者がいらっしゃいますよ』
「あっ……」
幻獣の向いた方向には狐の耳と尻尾を生やした少女が俺の方をじぃっと見ていた。
「そういえばフェル、神の子だったね」
「……クロスの、バカ」
「え、なんでこっちに来るの?……!?」
◇◇◇◇◇
「酷い目にあった……」
もういっそ歩くより飛んだ方がいいよねって結論に至って俺らは空の上にいる。
完全にフェルが神の子ってことが脳内から消えていたので思いっきり雷魔法を喰らってきたところだ。
本当に雷(物理)が降ってきた……。
そっぽを向いて口をきかないフェルに対していつも以上に元気なのがシズクだ。
「とりさんいるよ〜。こんにちは!」
「元気であるな!良いことだと思うぞ」
「セーラ、ムシがついているよ」
「ぎゃぁあ!!取れ、さっさと取るが良い!」
「うそ」
シズクは俺らといるせいで純粋さを失いかけつつある。
鳥に挨拶している時点でまあ純粋ではあるが……嘘というのを覚えてしまった。
さて、城に戻ったらシズクのことをなんて説明しようか。
そして早く色んなことを習わせてあげよう。
「にしても、本当に元気だな。なにかあったのか?」
「うん。だって、そらとぶのひさしぶりだもん。そら、だいすき」
もともと羽があった星零のシズクは空が大好きらしい。
空を飛ぶのなんて久しぶりだったらもう少し楽しんでもらおう。
俺はなるべく急いで飛びたいがな。
「で、どの辺に神様がいるんだ?」
「詳しいところはわからない」
「わからないのか」
じゃあ、いったい俺らは何処を目指して飛んでいるというのだ。
辺り一面真っ青で、何処にいるかもわからず、フェルだけが頼りだったのに……。
どうするべきかと悩んでいたら「ねぇ」とシズクが口を開いた。
「ボク、かみさまのいばしょ、わかるよ!」
「おお、シズク!本当であるか。凄いではないか」
「うん!わかる。なんかわかるよ」
シズクには俺らに見えない何かが見えるらしい。
更に上へ、遠い場所へと飛んでいくシズクを追いかけて行く。
雲の上に広がっていたのは、大きな街だった。
「シズク、どうやって此処を見つけたのだ?大発見ではないか!」
「んーっとね。ヒカリがね、あんないしてくれたの!」
「ボクえらい?」とセイラに褒めてもらっているシズクを見てから街を見渡す。
此処が神の住む都。魔王とは程遠い存在。
人間だった俺を何故魔族にしたのかも聞きたい。
故郷の街を見ているフェルは懐かしそうな表情を見せる。
「フェルは、なんで分からなかった?故郷だろ」
「ん。でも此処は、移動している空中都市だから分からない。シズクの言っている、ヒカリ。僕には、見えなかった」
「シズクは星零の中でも凄い力を持っているんだろうな」
「そうだね。シズクの存在がバレたら、シズクは……危険」
親から逃げてきたシズクを保護して、連れて帰ろうともしているが俺らが守らなくてはいけない。
星零という脅威を敵に回してしまった。
それでも、シズクという存在が大切だから……。
「セイラ、シズク彼処に見える城に向かうぞ」
「了解なのだ」
「はぁーい」
中心部にそびえ立つ城に、きっと神様がいるはずだ。
◇◇◇◇◇
「あの〜、すみませーん」
ギシギシという音が響く。
扉は重くて、大きい。人間の何倍もある扉は木製だった。
「妾死神がわざわざ出向いてやったのだ!感謝をし……む!?」
フェルがセイラの口を塞いだ。
神という存在がどれだけ凄いのかこいつは知らないのか。
まあ、魔族と神や天使は敵同士だから関係ないのかもしれないが。
「……よくきたな。魔王クロス、神の子、死神セイラ、星零シズクよ」
「久しぶりですね、神様」
異世界に来る前は良くしてもらっていた。
神様が何処に転生させるかもどうするかも聞いてはいなかったから理由をどうしても聞きたい。
「俺を此処へ連れて来た理由を知りたい」
「決まっている。もちろん暇……この世界に刺激をもたらそうと思ったからだ」
暇って言ったねこの神。
信仰する人がもし少なくなっても仕方ない事だと思うだろうなぁ。
神様は咳払いをしてから言い訳を始めた。
うん。成る程。暇なんだな。
「この世界を変えたくてな。魔物と人間が敵同士なのは良くない」
「はいはい、暇なんですね」
「いいや暇では無いぞ?」
さっきから姿を見せずに話していた神様はようやく姿を見せ始めた。
男性だが見た目は中性的だ。
真っ白な髪の毛と真っ青な瞳、アルビノではなかった。アルビノを見てみたかった。
背中に大剣を背負っており、剣は輝いていて綺麗だった。
光属性の魔剣っぽい。
「クロスよ、いつでも呼んでくれ。すぐに向かう。何かあったら、強く念じれば助けに行こう」
「神様……」
絶対に暇なんだろうなこの神。
「じゃあ、ありがとうございました」
「ありがとうなのだ!」
フェルとシズクが眠りについたので神様にセイラと挨拶を済ませて帰ることにした。
因みにだがちょくちょく神が遊びに来るようになったので無視している。
天罰なんて知らない。抗ってやる。




