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とある魔王様は人間の国で家庭教師を務めます!  作者: まくら
第3章:魔王様、冒険者ギルドで伝説になります
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46:シズクに濡れる

 パルルに言われてから旅立って一夜が明けた。


 俺は地図も頭に入ってないこの地を永遠と彷徨っている最中だった。

 それもそのはず、ここはすぐいろんな種族によって開拓されて意味わからない地形へと変わっていくからだ。


 そんなこんなで早、夜の22時。

 流石に2日も徹夜だと俺の体力が無くなって、セイラの世話がめんどくなっちまう。

 今日は創造魔法で作った家(仮)で休憩を取ることにした。



「わーい、久々の肉なのだ!」

「僕も、肉好き」

「そんなに急いで食わなくても、肉に足がはえてるわけないし逃げないよ」



 ガツガツと肉を食らうフェルとセイラ。


 肉に転生してたら、嬉しそうに食ってくれて嬉しく最期を迎えられるのだろうか。

 って思うくらい美味しそうによく食べる。

 こいつらの胃袋はブラックホールなのか?そうなんだな。



「俺が見張りを担当する。2人は寝てろ」

「わかった」



 セイラはもう既に寝ていた。

 少しは警戒心を持ってほしい。


 流石に夜は冷えるな。

 

 此処からは星がよく見えた。



「……、だい。ね、」



 遠くから微かに聞こえる声は一体誰のものだろうか。

 いや、考え過ぎかもな。きっとただの風であろう。



「ねえ、それちょーだい!」

「どわぁああああ!?」



 なんかデジャブを体験しつつ、後ろにいた少年を見る。

 暗くてよく見えないが、羽が生えており、それは夜空のように暗く星のように散りばめられたところが光っていた。

 ここら辺に住む種族かなんかだろ。

 そう、軽い気持ちで受け止めていた。



「ボクにそれちょーだい。それ、なんていうの?」

「これはさっきまで食べてた肉の残りだよ」



 少年……と言うよりかは子供が首を傾げる。

 ぐぅーと音がなったのは小さな少年のお腹からだ。

 きっとお腹が空いていて匂いを辿ったと思われる。


 まだまだ小さく俺の元々いた世界では小学1年生くらいの子供が何故1人で彷徨っているのか……。



「ボク、おなかへったよぉ。なんか、はらぺこでそらもとべない」

「僕には食べづらいだろうから小さく切ってあげるよ。ほれ、たくさん食うといい」

「むしゃむしゃ……!おいしーね」



 そう言って笑う。笑顔は100点満点だ。

 王子にもない、姫にもない可愛さがある……これが無邪気というもの。純粋。

 ちょっと子供にしても生意気すぎる王子とも違い、大人すぎる姫とも違う。


 フェルは子供だったけど成長したし、セイラも無邪気だが……あれは少女じゃない。

 死神だし、五月蝿いし!


 少年に取り敢えず、心を鷲掴みにされていた。



「もっと食うか?あ、クッキーあげるよ」

「く、きー?おいしそうだね」



 夜に食わせてはダメかもしれないけどお腹空いているようだし満足してくれるだろう。



「ありがと、ボク、かえるね」

「帰り道わかるのか?……もしかして適当に行こうとしてる?」

「ぐぅ……かえりみち、わかんない」

「そうか、一夜はここで過ごすといい。明日一緒に帰ろうか」

「うん。もう、ねむたいよ〜」



 俺はこうして無邪気で可愛い少年を一旦拾った。




 ◇◇◇◇◇




「誰」

「おぉ!新たな仲間なのか……ぐふぅ!?」

「ちょっとおチビさん五月蝿いよ」



 少年の事を紹介しようとしたがこの有様。

 相変わらず仲が良いのか悪いのか……良いってことにはしといてるけど。



「昨日の夜に拾った。僕の名前は?」

「ボクはシズク。さんぽしてたらまいごなった」



 名前はシズクか……。

 散歩して迷子になることなんてあるか?

 ってかそもそも1人で子供を外に出す親がいるか!



「そーいう事だから、シズクを家まで送り届ける」

「了解」

「なのだー!」

「ありがとう!」



 物分りが良くて助かった。

 2人がどうしても嫌だと拒んだら1人で送り届けて迷子になる予定だったから安心だ。


 そして、シズクの直感と魔力探知を使い探すことになった。



「羽、珍しいね」

「そうかな〜。ボクのおかーさんはもっときれいで、おとーさんはおおきいよ」



 羽が生えている種族なんてあまり聞いたことがない。

 やっぱり伝説の地には出会ったことのない種族や物がたくさんある。

 

 人間の方は貿易がうまくで出来ていると良いのだけど……。

 俺の知ったことはないんだけどね。



「きつねさん、なでてもいい?」



 現在ノヴァと唱えて俺の頭の上に乗っているフェルにシズクが声をかけた。

 少し嫌そうな顔をしているのだろうな。

 表情は変わらないけど返事を全然しないし。



「……いいよ。わかった」

「妾もフェルを撫でてみたいのぅ」

「おチビさんは絶対ダメ」

「しょぼんしちゃうぞ……」



 俺らはひとつの山を越えて、水色の綺麗な湖までやってきた。

 此処で1度休憩をして終わったら再び歩き始めることとしよう。


 歩き始めて早3時間が経っていた。



「にしても、シズクがこんなに歩いて来たなんてな!妾はもう、倒れそうだぞ……」

「それもそうだな。シズクはまだ小さいのに凄い」

「凄い凄い。僕も倒れる」

「珍しくフェルが褒めた!?妾の時は適当だったではないか」



 シズクは疲れたのか声を出さず床へと座った。

 辿り着くにはあと数時間はかかりそうだ。



「ボク、かえりたくない」

「え……」

「かえりたくない。おうち、いやだ。こわい」



 確かにシズクは怖いと言った。


 家族に何かをされているのか。小さな子に、一体何を?

 シズクはぽろぽろと涙を零して、俺の服で涙を拭いた。


 ちょっと待て。俺の服で涙を拭くな。



「シズクの話を聞かないと、俺が誘拐したみたいじゃないか」

「うん。ボク、星零(せいれい)っていうしゅぞくなんだ。星零はおほしさまをあやつることができて、

ボクはうまれたときからそれができた。だから……」



 だから、家でその能力を強制的に鍛えさせられた。


 

「ちゃんと言えて偉いな。よし、一緒に行こうか!」

「いいの……?ボク、やくたたずっておこらない?」

「怒らないよ。でも、家族に出会ったら大変だな……フェルみたいになれない?」



 小さな魔物もしくは動物になってくれたら移動も楽だしバレないと思うのにな。

 そう簡単になれるものでも無さそうだし見つかったら俺が戦うしかないのか。



「なれた」

「え、シズクってもしかしなくても強い?」



 気付いたら、シズクが羽の生えた羊みたいになっていた。

 羽が生えているのは変わらないみたいだからもしかしたらがあるかもしれないけど、これなら城にも連れて帰ることができる。



「あ、でも俺なんかいろんな種族に出会えって言われてるからすぐには帰らんけど」

「ボク、かたにのってる。なまえなんていうの?」

「俺は……魔王クロス。何時もは幻影魔法でシロっていう名前を名乗っている」

「僕はフェル。神の子」

「妾は死神のセイラなのだー!」

「クロス、フェル、セーラ、おぼえた」



 シズクの住んでいたところの方向から背を背けて俺たちはまた歩き始めた。

「そういえば、シズクは何故クロスに懐いておるのだ?フェルはまあ、分からないこともないが妾もクロスも同じ魔族なのだ」

「ボクたち星零はかつてマオウにたすけてもらったことがあるから、マオウはいいそんざい」

「おチビさんが懐かれる日はいつだろうね?」

「ボク、セーラもすき……!」

「可愛いやつだなシズクよ!」

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