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とある魔王様は人間の国で家庭教師を務めます!  作者: まくら
第3章:魔王様、冒険者ギルドで伝説になります
45/50

45:ナル

 ブルーライズの城へ戻って来た。

 

 俺の魔力が半分以上減ってしまったのは気にしないこととしよう。

 因みにだが空間移転を使えないセイラはクワルツ・ド・ロッシュへ置き去りにして来たから静かだ。

 

 空間移転を使えない自分を恨むがいい!

 神の子は全部使えるとかなんとか言っていたのでついて来たけど。



「姫ー、ナルって人魚(ひと)知りませんか?」

「ナル……?ナルなら買い物に行ったわ」

「えぇ、ついてねぇな。ありがとうございました」



 買い物っていうことは城下町だろう。

 パルルと似たような魔力を辿っていけば会えるはずだ。


 技術魔法、魔力探知。

 フェルの嗅覚を頼ればなんとかなりそうだけど、絶対に嫌だって言うだろうなぁ。

 魔力探知を使うと歩いたところが足跡として浮かび上がる。

 素晴らしいことに他の人には見えない。



「技術魔法って凄い。僕知らない魔法だった」

「俺が作ったからなー……フェルって足跡見えてんの?!」

「普通見えるんじゃないの?」

「見えないから驚いているんだよ」



 フェルを除いて見えないらしい。

 うーんっと、俺は自分に見えればいいと思って作ったんだけどこの様子じゃフェルも使えそうだなぁ……。


 侮れない神の子。



「んー?んんん?」

「頭のネジが取れたみたい」

「魔力がなんていうか……濃いんだよ」



 パルルよりも強い魔力を感じる。

 パルルも強かったけどその倍以上だと考えるともしかしたら今まで出会った者の中で1番強いかも。

 それに、この先にさらに魔力を感じるから誰かと一緒にいる?


 先に進んでみよう。なにかわかるかもしれない。



「お姫様によると、ナルは買い物なんだよね?」

「そうらしいな」

「買い物って森の中でする?」

「……そうらしいな」

「絶対にしないと思う」



 でも、魔力探知的には森に中にいるんだよ。

 もしかしたら何かを取って来る(イコール)買い物かもしれない。そうかもしれない!


 魔力を辿って森に中まで入る。


 俺のいた森もなかなかだけど鬱蒼としている。

 いや、うん。ビビっては無いんだけど……魔力量なんか濃い。



「誰だっけ……ナルさーん。居ませんかぁー!」

「います」

「うわぁあああ!?」

「うっ……僕を掴まないで、痛い」

「い、いつから。いつからそこに、俺の後ろに?魔力も感じなかったし……」



 一度呼びかけただけで見つけられたのはいいことなんだけど取り敢えず怖かったので後ろから出て来るのをやめてもらいたい。

 ナルは俺の顔を見て驚いた。



「シロさん……ですか。何時も落ち着いていて完璧のシロさんが叫ぶなんて……」

「悪かったですね。ナルって、パルルの妹さんだよな?」

「パルルって、誰ですか?」



 あ、呼び戻す以前の問題だった。

 パルルの事を覚えてないということは記憶喪失なのか?


 だけど、パルルの名を聞いた時に一瞬顔を顰めたのは……。



「ナルは、帰りたいか?」

「嫌。あんなところに帰りたくない」

「あんなところって、覚えてないのでは?」

「……」



 人間に攫われるといっても、人魚は無力ではない。

 1番弱い種族は人間だ。

 なのにナルは簡単に攫われてしまった。


 考えても答えは全然出てこないな。



「シロさん、結界はれますか?」

「え、常にはっているけど」

「よく魔力無くなりませんね。では、私は人間に攫われました。逃げる事も可能なのですが、売られた先で、ブルーライズの城の者に買ってもらっていい生活も保証されています」

「つまり?」

「人間の国が予想以上に楽しいんですっ!」



 おお、すごい勢いだ。


 別に結界をはらなくてもいいんじゃないか。

 ナルは辺りを警戒している様子だけど気配は何ひとつ感じない。



「売られる時に、私につけられたGPS機能で、帰れないのです」

「じゃあ、1回帰ってパルルにこの事を言おう」



 そうと決まればワープだ。

 俺の魔力はだいぶ無くなってきてしまうにだった。




 ◇◇◇◇◇




 人魚の国、クワルツ・ド・ロッシュへと戻ってきた。



「お、シロなのだー!暇であったぞ」

「パルル、戻ってきた」

「すごい無視された!」



 後ろにいるナルは人魚からジロジロと見られている。

 姫様だぞお前ら。俺に感謝しろよな。



「ナルー!」

「あ、姉様。ただいま戻りました」

「なんか、人間の国が予想以上に楽しかったらしい」

「それでもGPSで、帰ることができませんでしたので」



 そんなに完璧なGPSがあるなら俺に教えてほしい。

 王子に渡せば迷子になっても迎えに行くことができるし、俺の負担も減る。

 王はいつも迷子になると半笑いで楽しそうにしているからなぁ。


 

「それは呪魔法の一種だな。妾がそれを解いてやろう。安いもんだ!」



 セイラが何かブツブツと唱えると紫色の光がナルに降り注ぐ。

 どうやら追跡機能はなくなったようだ。


 これで霧をなくしてもらうことが可能かな。



「あんた、よくナルを連れて帰ってくれたわ」

「霧の解除を頼む」

「しょうがないわね……クロスはいつでも来ていいわよ。他の人間は今から1週間だけよ」

「ありがと。これで俺も用事は無くなったから帰るか」



 俺が来た理由は霧を解明することだから、クエストは完了した。

 そろそろ城に戻って、サボっていた家庭教師を始めないといけない。


 あ、でも船が来るのはまだまだだから1日は此処に泊まっていかないとかも……。



「クロスを返すつもりはしばらくないわ!これから違うところに行ってもらおうと思うの」

「はぁ?俺に休みを与えてくんないのか」

「そう怒らないで。なんか伝説の地に暮らしている種族が会いたがってんのよね〜」



 伝説の地に暮らしている種族は人魚以外にどんなのがいるのかわからない。


 

「わかった。行ってみる」

「あと、いつでも戻って来ていいからね!」



 最初に比べればパルルも優しくなったもんだ。

 その後の話。


 ◇◇◇◇◇



 そういえば……と、ナルが口を開いた。


「私は城に帰れるようになりました」

「自由に行き来して良しっていう許可が出たからね」

「シロさんは、先ほど姉様にクロスと言われてましたが……」


 あれ、もしかしてパルルは一瞬にして魔王だと気付いたのにナルは気付いてないのか?


「あ、あれは……そう。俺の知り合いの名前だよ。うん、きっと……そーいうことにしとく」

「何言ってるの?ナル、クロスは魔王よ。魔王クロス」

「え、えええ……?」


 本当に気付いていなかった。

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