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とある魔王様は人間の国で家庭教師を務めます!  作者: まくら
第3章:魔王様、冒険者ギルドで伝説になります
43/50

43:綺麗な綺麗な霧の中。

「大変だぞー!大変だぞー!」



 とある日、セイラが俺の元へ走り寄ってきた。

 なんか意味のわからない事を叫びながらだが……。

 

 フェルが横で寝ていたがびっくりして起きたようだ。

 


「何、おチビさん。僕の眠りを妨げた罪は重いよ」

「すまぬ……で、聞いてほしいことがある」



 あまりにも何時も真面目ではないセイラが真剣にいうのでなにか本当に大変なことがあったのかと思った。

 失礼だが、セイラが真面目なことって初めてではないか。

 取り敢えず、セイラの話は聞いてあげるとしよう。



「あのだな……伝説の地が50年に1度開かれるのは知っておるな?

そこが開かれたのだがひとつ問題があって中には入れないらしいのだ」



 伝説の地、そこは伝説とされているものが数多く存在する場所。

 50年に1度開かれて強大な魔力を持つ者のみ大地へ足を運ぶことができるのだが……中には入れない、ということは1度もなかった。


 セイラの言うことが正しいとするならば、非常に大変なことになってしまう。

 そこにいる種族と貿易をしているので入ることが出来なければ困ってしまう国も出てくる。

 


「入れないのか」

「僕、聞いたことない。僕が生まれたのそこだけど……」

「そうか……!フェル、中側から入れるようになる年を決めれるのか?」

「決めれる。海に浮かぶ大陸だから人魚が好きなように入るところを決めているよ。

人魚が決めるから気まぐれで1年に1度の時もあるけど、50年に1度は必ず入れる」

「人魚に気まぐれだ。何かあったんだきっと」

「因みにだが、ギルドの依頼としてあるぞ?伝説の地に入るだけのクエストなのだ」



 ああ、そっか。

 セイラは野放しにしているから冒険者ギルドにも行けるのだ。


 よし、フェルとセイラを連れて伝説の地まで行ってみよう。

 中に入れなければ強制的に入ってやる……待ってろ人魚!




 


「メルさん、伝説の地へ行かせてくれ」

「珍しいですね。敬語じゃない事ないじゃないですか」

「あ、急いでいました」

「冒険者で敬語の人はいないので良いのですけどね。伝説の地でしたよね。少々お待ちください」



 仕事のできる人だな……全然待っていないんだけど。

 さて、どれくらい城に戻れないか分からないけど王子の事はもう1人の家庭教師に任せて俺は旅に出よう。

 宮廷白魔導士の事は何も知らない。忘れてたことにしてやる!


 何気に古の洞窟以来なので楽しみだ。


 行く方法は、船だったか。

 何とかしてチケットを取ることが出来れば今直ぐ行くことができる。



「チケットの発行は済みました。どうぞ。頑張ってください」

「ありがとうございます!」



 やっぱり仕事もできる人だ……!



「あ、シロだー」

「久しぶりって言っても数日前だけどね」

「よう」

「一応命の恩人だろ?」



 輝と再会した。

 この3人はしばらく王都に滞在する予定らしくギルドも王都のところで過ごすらしい。

 王都の暮らしを満喫しているようでよかった……。

 俺が街を結構頑張って返させてもらったのだ。嬉しい限りです。



「シロは何処へ行くんだ?」

「俺は伝説の地へ行くところだ」

「伝説の地?!」

「まあ、いろいろあるみたいだな」



 フェルの生まれ故郷ってことは神様に会えるかもしれないってことだろ?

 神様って神聖な存在だから魔王から見たら敵なんだけどどうだっていいや。

 俺を転生させてくれた感謝があるし、神様に何かしろって言われたら何でもできる自信がある。



「じゃあ、またいつか。死ぬなよ」

「死ぬわけないだろ」

「1回死んだくせによく言う」

「なにをー!?」



 シューヴァに軽く叱られたけど、表情が少し柔らかくなったな。

 さて、と。俺らの用事は済んだ。さっさと行こうじゃないか。




 ◇◇◇◇◇




 船に乗り、酔ったセイラの背中をさすりながら目の前の風景に息を呑む。

 伝説の地は地図では確かにそこにあるはずなのだが……。



「霧で覆い隠されてるなんて……」

「うっぷ、妾もこんなげんしょー……見たこと、ないの……だ」

「おチビさん辛そうだね」

「誰がチビだとー!?」

「おい、そんなに動くと酔いが酷くな……」

「うっ、うううう……」

「……るぞって言おうと思ったのに」



 おチビさんって言われるけどセイラ、そんなに小さくないはずなんだよなぁ。

 神の子は成長が早いみたいで、拾われたとき小さかったのに今じゃフェルによると160くらいらしい。

 もう成長期は過ぎたとか言っときながらセイラの事を小さいと煽っているのは気の所為なのか……。



「僕、こんな現象見た事、ない」

「俺もない」



 霧はとても綺麗で、夢のような色の光が辺りを飛んでいる。

 現象というかこの霧を見たことがない。

 魔法か、人魚の気まぐれか……後者のようだが前者でもある気がする。


 ここまで船を運転してくれた人に話を聞いてみようか。

 周りにいる観光客や伝説の地へ踏みいれようとするものを退けて操縦席まで行ってみる。



「すまない、霧はいつからあの様子なんだ?」

「おう、兄ちゃんも観光かい?あらァ、もう1週間前からだよ。俺もビックリしたけどよ」

「そうか……霧の中も海は続いているはずなのだが入れないのか?」

「入れねぇんだ。なんか、押し返されるような感覚だな」



 人魚の気まぐれにしては1週間も続くわけがない。

 気まぐれだから、ずっとは続かないし長くても3日だからこれは可笑しい。



「ありがとう。フェル」

「ん、原因突き止めた。やっぱり気まぐれではないみたい」

「人魚に事情を聞いてみよう!」

「兄ちゃん、悪いけどこの先は船が進まないんだよ……」

「大丈夫だ、ちょっと降りる。次ここへ来るのはいつぐらいだ?」

「毎日この時間だな」

「ほう、大変だな。次戻ってきた時に乗せてくれ」

「おう!任せろ」



 いい人で良かった。

 乗せてくれないとか言われたら帰る手段がなくな……空間移転はあるけど、魔力使うからなくなるな。

 セイラには申し訳ないけど、不可抗力なんだ。申し訳ない。



「セイラって浮遊魔法使えたっけ?」

「妾か?もちろん使えないのだ!」

「それ自信満々に言う事じゃねえって……」

「だがな、妾にはこれがあるぞ」



 セイラは黒い羽を広げた。

 飛べるのかよぉ……今までの死神は飛んでこなかったんだけど。

 


「へぇ、凄い凄い」

「なんかフェルに言われても嬉しくないのだ」

「それなら大丈夫だな。フェル、お前は俺の上に乗れ」

「わかった」



 そう言って俺の上に乗ろうとしてきた。

 いやいやいや!フェルまだ人間の姿をしてるじゃないか。

 俺に潰れろとでも言いたいのかな?



「じょーだん。ノヴァ」

「冗談とかやめろよ。心臓に悪い」



 いざ、人魚に説得しに行くぞ!



 浮遊魔法を使い、船から飛び出したのだ。

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