4:目標
0の合図が鳴った。
ようやく終わったよ……手強いような、いやでも強くはないな。
王子はまだ攻撃を止めようとしない。
おい、良い加減やめろよ。
そろそろ辞めないとお前、魔力切れの俺みたいになるぞ。
「もう終わりですよ」
突然、電源が切れたように止まった。
ドサリと倒れてしまったのだ。
体力消耗が激しく倒れ込んだ王子の前まで行く。
王子は俺を見上げて肩を揺らしている。
「ほんと、何者……?」
「さあ、王に拾ってもらった一般人ですかね」
「一般人はそんな動きしないよ」
ハハハ……確かにそうだ。
人間だったら木刀を余裕で避けて止めて投げなどしないな。
創造魔法、水魔法。
創造魔法は結構魔力を消費する。武器創造魔法は創造魔法の派生で、上級者向けだな。
水魔法、これは分かるんじゃないか?そのまま水を自由に操れる。
綺麗な水を創ったペットボトルの中に入れる。
王子に差し出したら凄い勢いで飲んだ。
毒とか入っているかもしれないのに……。
よほど疲れたということにしておこう。毒味はしてない!
王子は生き返ったように立ち上がった。
「美味い……!」
「それは良かったです」
「にしても、水がこんなに美味しくなるなんて」
王子が言った通りだ。ブルーライズの課題として水が汚い。
今朝、顔を洗おうとしたら汚くてビビった。
いやぁ、あれは全人類がビビると思うんだよね。
流石に汚すぎて困ったし、料理もこれで作っているとしたら怖い。
ってことなので、城内の全ての水を浄化魔法で綺麗にさせてもらった。
浄化魔法はなんて言えば良いかわからんが聖なる魔法だ。
魔王とは程遠いかもしれんが理由はある!今は言わんが……。
ではなく、聖女とかが使える魔法で魔力消費はエグい。
なぜ綺麗か気になる王子を見ながら言う。
「ブルーライズは飯も不味けりゃ水も汚ねえ」
「そうなの?」
うん、パンがカッチカチの時は城の屋根から飛び降りるとこだった。
こんなに不味いパンは食ったことねえ!って感じ。
一度、魔王としてこの国に来た時も思った。
めっちゃ、この国は食文化がヤバイ。不味い。
「それで国民が不満を持っているらしいですよ。王子ならどうしますか?」
「でも、城のご飯は美味いよ」
正気か。この王子。
「水は汚かったけど、飯もあんまし美味くなかった。さあ、まずは水問題を解決しに行きましょうか」
「めんどくさ」
「一騎打ち、王子が有利な状況で自分から戦いを決めましたからね」
王子は渋々と俺の後ろをついてくる。
ブルーライズの国を豊かにして、今すぐにでも美味い飯を食いたい!
俺のブルーライズで最初の目標は生活のことだった。
王子の戦力についてが最後になりそうだけど知らない。