30:王子の浄化大作戦!
今日は、王子がどうしても行きたいって言っているレッドクレイ国という国に行く。
俺は1度も行ったことがないから空間転移はできない。
そのため、珍しく馬車で移動することになる。
もちろん妃様に頼まれているフェルも一緒でこの旅は王子がフェルと仲良くなるためでもある。
当の本人は緊張しているようだが......。
フェルはその巨大な魔力量と姿で正体がバレてしまいそうだから狐の姿でいてもらっている。
そんなことも出来るのかと疑ったが神の子なだけはあった。
「これが、馬車......凄いね......!」
「まあ、タイヤをつけて馬が引いているだけだがな」
「人類の大発明だ」
「人類は意味不明なものを考える」
「なんかさぁー、それだとまるでシロも人じゃないみたいじゃん」
人ではない。
王子はその事を分かっていないためそんな事を言ってくる。
神の子が人間嫌いって言った時点で俺が人間じゃないことに気づかないとは思わなかった。
妃様は薄々気づいていたのに。
馬車に乗りたがっているフェルを乗せてあげる。
乗るのには一苦労するようだ。
「んー......高い」
「そのうち高くなるさ」
狐の姿から元の姿へと戻る。
変身っていうのかあれ......変身をするときは必ず『ノヴァ』と唱えてる。
「なんでフェルは僕を避けるんだよ」
「......僕、人間が嫌い」
ムスッとしている2人をなだめなきゃいけないのは面倒いがな。
「シロは人間だよ......ね」
「なんですかその目は」
俺を疑うような目線で見ないでほしい。
まあ、人間ではないんだけど今は人間として行きているんだ。
「シロって、可笑しいくらい魔法使えるし、強いし......人間っぽくないっていうか......」
「人間(仮)ですよ」
「そう、だよね......魔力量が多いからきっとフェルも落ち着くんだよね」
「ここが......」
「僕、この国......好きかも」
「レッドクレイ国って自然豊からしいよ」
これに関しては王子の方が知識がありそうだから案内はこいつに任せよう。
俺、なーんか忘れている気がするんだよな......。
「ごめん、迷子だ」
「......人間、迷惑」
「善意で案内したのに!」
「......そうだった」
「どうしたのシロ」
俺、こいつが方向音痴ってこと忘れてた!
こうなったらしょうがない。技術魔法を使おう。
んー......あっちに行くと取り敢えず休憩できる場所がありそうだな。
技術魔法は、鑑定やマップ......それからステータス表示、HPの表示色々できて便利だ。
「凄い、シロの目が赤くぴかーんって光ってるね」
「ん、すごい。共感」
「ってかフェルって途切れ途切れっていうか......なんだっけ体言止め多いよね」
「これが僕の、話し方。個性」
うん、2人も少しずつ仲良くなっているようだな。
「フェル、戻れ」
「......ノヴァ」
「どうして?」
「さっきは王子のおかげで人に会いませんでしたが人が多いところに行くので......」
王子が迷子になってくれたのはある意味でよかったかも。
これから少し休憩して......王子のやりたい事をやったらお土産を買ってあげよう。
フェルがさっきからお菓子のお店を見ては目を輝かせているからな。
「で。何、するの?」
「この国って水が汚いで有名なんだよ!」
国民に一気に睨まれた。
初めて王子をしばこうかなって思ってしまったじゃないか。
「馬鹿王子」
「フェルって僕に対して辛辣だよね!?」
まあ、辛辣でもいいじゃないか。
前より話してくれるようになったのもこれまた事実なんだし。
「僕が、この国に浄化魔法をかける」
「浄化魔法......でき、るの?僕も、お手伝い......」
「しなくて大丈夫だ。王子に任せよう」
「ん」
神の子だから大体の魔法は使えるはずだもんな。
今回に関しては、王子に全てを任せてもいい。
前の浄化魔法よりだいぶ成長した方だし......それに、いい目つきをしているからね。
......ここが、汚い水路だ。
ブルーライズよりも圧倒的汚さで立っているのも辛くなりそう。
「僕、倒れる」
「結界を張っといてやるから頑張れ」
「ん......頑張る」
王子には何も手出しをするなと言われてしまったし、ついて行くだけ。
迷子になるからついてきて正解だったけど、手伝いはさせてくれないんだよな。
王子は、水路のど真ん中で浄化魔法を使うつもりだ。
「浄化魔法......カタルシス!」
完全詠唱をする事で、強い力を得られる。
わざわざ言うのも大変だから最後の切り札として残している人も多い。
王子の浄化魔法は国全体を包み、全てを浄化した。
他の国の民を救うことが......王子のどうしてもやりたいこと。
勇者に、向いている。俺を倒す相手は王子なのだな。
「すごい。褒める」
「なんか嬉しくない......」
「王子、成長しましたね」
「あ、それは嬉しい!」
「僕も、褒めた」
なかなか2人はいいコンビネーションなのかもしれないな。
王子の浄化大作戦、成功。




