28:魔法について
「では続いて、魔法に話をしましょうか」
「えー......魔法の話なら知ってるよ」
それでも魔法は試験に出るんだよ!
覚えとかないと受からなかったら俺が怒られるの!
「詠唱はしてますね?」
「うん。光魔法!とか言ってるよ」
「詠唱には3種類あります。詠唱、半詠唱、無詠唱。
詠唱は光魔法の後にライトニングアロー的なのを叫ぶやつですね。
王子のは半詠唱。私が使うものが無詠唱です」
「これは座学に......?」
「出ますよ」
王子は少し凹んでいた。
「属性の話です」
「はぁーい」
「属性は、基本的に炎・水・地・風・光・闇・無......それは知ってますね?」
「もちろんだよ!」
それだと話が早い。
王子が部屋に篭っていた間に座学を頑張っていたみたいだから、知識は増えたようだ。
まあ、姫には及ばないのだけれど。
「昔は......まあ、500年くらい前はこの無属性を抜いた6つしか魔法はありませんでした」
「そうなの!?」
「これは試験で出ると思いますよ」
人間の......魔法の歴史については必ず出るのがこの国の学校の試験で、難しい問題ばかりだ。
魔法の試験は王子にとって簡単に終わると思うから、苦手なところはそれで補ってもらいたい。
剣術を満点取らないと、それはそれで恥をかく羽目になってしまうのは確かなんだよな。
「90年前に、属性から派生して今の魔法ができました」
「へぇ、難しいね」
「その時には、大賢者と呼ばれたアルロス・ベルグというものがいて魔法を作ったとされています」
此処も試験に出てくるから覚えていてほしい。
俺もアルロスには会ったことがあった。
この世界に転生してから100年も経ったってことだけど......まあ、10歳の時に出会ったのだ。
「アルロスは......魔族でした」
「魔族って......」
「敵、ですね。アルロスは、魔族なのに人間が使いやすいように魔法を改造しました」
「でもっ」
「それほどアルロスは人間が好きだったのでしょうね」
かつて人間だった俺に直々に魔法を教えてくれたからこんなにも魔法を覚えることができた。
人間だったって言うのは、親が魔族と精霊だったため歳を取るにつれて魔族になったと思われる。
それが発覚したのが俺の死んだ17歳だから、17歳で年が止まっているんだよなぁ。
アルロスのようになりたくて、魔王へとなり......争わない世界を作りたかった。
「さて、少し話が逸れましたが......魔法は歴史があったのですよ」
「そんな人がいるなら、魔王が魔力を奪うって本当なの?」
「違います」
「......」
あまりにも即答だったため王子は目を見開いて驚いた。
「魔力は、個人差があってもちろん微力でない人も沢山います。
魔王が奪ったのは......自らの意思をもって奪うのではなく与えてるかもしれませんね」
俺が人間に与えたのは数多くの平和だった。
人間が守れないものをひたすら守ってきて、魔物の納得して、50年を過ごした。
味方のいない世界で、ただ孤独に生きてきた。
「っと......また逸れましたね。王子の使える属性は炎・水・光・闇です。魔法の試験では、魔力の量そして質まで全てを見ます」
「質......」
「王子には問題ないですが、油断もいけません」
王子はすごく珍しい。
対のものを使える人はとても少ないのだ。
例えば炎。炎は風と組み合わせることで最強のパワーを持つと言う。
光を使えるのすら珍しいのに闇まで覚えてしまったから今までの歴代勇者で1番強いのかもしれない。
「見せつけるには、派手で、かっこよく、そして優しく魔力を放ってください」
「わかった!......派手で、かっこよく、優しいってどゆこと?」
「浮遊魔法の練習をしている時に魔法はイメージと言いました」
「あー......そういえばそうだったね」
「次に大切なのは感情、です。感情にとらわれると魔力の暴走が起こりますが、感情を込めないとそれはそれで質のいい魔法とは言いません。感情は大切です」
「それは分かるんだけど、優しく?」
「優しい気持ちになれ、以上......です」
感情に、振り回せることがよくないのだ。
『ねーねー、アルロスおじいさん!』
『どうしたんだい?』
『感情が大事ってどういうこと?』
『はっはっは......お前さんには難しいだろうな。感情のままに動くと大切なものを奪うのだよ』
時は変わった。戦火に包まれる。
『魔族は全ていなくなればいいのだ!!』
人間が、そんな事を言った。
未だに幼かった12歳の少年は怒りを覚えて立ち向かった。
『闇魔法!光魔法!水魔法!炎魔法!風魔法!氷魔法!』
『待て......』
アルロスの言葉は決して届くことはなかった。
少年の魔法が命中してしまい、命を落としたからだ。
『......アルロス、おじいさん?ねえ、返事をしてよ!なんでッ』
「感情に任せれば、大切なものを奪いますからね」
「シロは......経験したことあるの?」
「......さあ、どうでしょう」
王子には失敗しないで欲しいから。
できることなら、今から救ってあげたい。
きっと、王子なら......。




