27:職業って?
姫の誕生日から1週間が経った。
大々的に生誕祭が行われたりして街は大騒がし。
今でも街に出れば姫のことで話は持ちきりだ。
そんな話を聞いてつまらなそうな顔をしているのは目の前にいる姫の兄、王子だ。
......兄なんだから少しは喜べよ!と言いたくなってしまう。
まあ、それもそのはず。王子の時は大々的に生誕祭が行われなかったからだ。
王子はね......誕生日を公開していない。
勇者の誕生日を公開したら後にめんどい事になってしまうかもと王が言ったのだ。
「ねえ、シロ」
「はい、なんですか不機嫌王子」
「変なあだ名つけないでよ!......マリアはさ、こうやって生誕祭もあるし最近スティのような神獣を従えるし、それに魔力だって強いじゃん」
「王子も神の力を使ってみたいと?」
王子はすぐに頷いた。
それなら問題はないんだけどなぁ。
勇者って、神の血が混ざっているらしいから王子も神らしき力を使える。
その証拠として勇者しか扱えない武器とかも使えるだろう。
「王子は、色々と個人情報がバレてしまえば何に悪用されるか分かりません」
「大丈夫だよ」
「過去には、個人情報が抜かれて細工をされ、死刑をされた人もいるらしいですよ」
王子が震えた。
納得させるための脅しだが、これは魔物からの情報だ。
事実かどうかはあまりわかっていない。
「で、今日は何するの?」
「今日は座学について......」
「嫌だ」
「頑張っていきましょうか」
これから王子が試験を受ける学校は、座学も大切だ。
座学、魔法の技術、それから剣術でクラスが分けられていくから王子が座学で点を落としまくったらそりゃ、いろんな人に舐められるから頑張ってもらうしかないよな。
「絶対に出るものをやりますか」
「......ん」
......これだから不機嫌王子は。
創造魔法で黒板とチョークを作る。
学校に似せるためなんだけどこの世界は黒板とかないんだろうな。
「職業について、やっていきましょう」
「うん!それは気になる」
少しは興味が出たようだ。
「職業適性検査では自分に向いている職業が出たはずです。
王子は勇者と出ました......例えば魔法使いと出ても冒険者にならず、ギルドで働く人もいます」
「魔法使いが職業で......ギルドで働くのも職業で......?」
「職業適性検査で出た職業は職で、正確には職業みたいなものと捉えてください」
「ふぅーん......」
ちょっと気になっていたことを質問しようかな。
王子のなりたい職業について、勇者をやって行く気はあるのか。
「王子は......勇者になりたいですか?」
「なりたくないよ」
予想外だった。
王子ならなりたいって言うと思っていたのになりたくないんだ。
なんでだ?勇者になったら知名度とか上がるのに......。
「だって勇者になったら、きっと......シロと会えなくなってしまうじゃん。
マリアとも、会えないしお父様達とも会えなくなるから......それに、僕は魔王と共存できたらいいと思う。
話し合ったらきっと分かってくれると思うんだ!」
「......」
歴代の勇者は、魔王との戦いの末に死亡もしくは生きて帰ってきても酷い怪我。
もちろんのことながら長生きはできなかった。
長生きをするため、そんな単純な理由だと思ったのに。
大事な妹も、家族も会えなくなってしまう。
そして、俺の事も思ってくれている。
王子は不器用ながらもずっと考えていたんだろうな。
魔王とちゃんと話したら、話し合ったら良いって信じてるんだ。
「ま、その前に魔王に会えないと始まらないから勇者にはなるよ」
目の前に魔王、いるんだけど......。
王子は、勇者になってこの世界を正してくれる。
そんな気がした。




