2:対面、王子
目が覚める。
あれ、此処って……あ、そうだ。
俺ぶっ倒れて王子の家庭教師になったんだった。
王子に初めて会うけど大丈夫かな。
我儘な人だったらどうしようかと思うけどまあ、王族だしそんな事はないと......今は思っとこうか。
城をのんびり歩くことにした。
朝だから、まあまあ静かな感じかな。
少し騒がしいのは俺が原因とも言えようか。
俺は王に呼ばれていた。
少し行くのを躊躇ったが(何故か視られるため)断れない。
王子の話でもされるのか……。
コンコンコンとノックの音が鳴り響く。
「入れ、よく眠れたか」
「まあまあだな。それより目線が痛い、どうすりゃいい」
「見ただけで魔力量が多いからだろう。これからレイにあってもらう。シロ、レイを見捨てないでくれ」
ま、魔王に二言はないって言うしな!
それよりシロってなんだ、俺のことか?
見た目が白っぽいからその名前を勝手につけたのか思う。
魔族っぽく、不吉と言われた黒髪も赤い眼も幻影魔法で隠してはいる。
なんなら髪の毛真っ白だし眼も青い......白魔導士の様だな。
せっかく王に名を頂いたんだ。今日から、シロとでも名乗るか。
と、俺は今王子の部屋の前に立っている。
それもそのはず、俺はあれを言われて追い出された。
もう少し王子について教えてほしかったよッ!
「王子は扉の先か」
再びノックをする。
失礼します、を忘れずに部屋に入った。
なんか……部屋汚ねえな。
「……使用人なら出てって」
王子は一言、それだけを言った。
第一印象はあんまり良く無い。って言うか最悪だ。
すっげえダラけているようにしか見えない。
大事にされすぎたのが原因か?
男ならもっとシャキッとしろと言いたいが別に性別は関係ないからいいや。
魔界では性別とかあまり無いからね。
此処は初めての会話、敬語を心掛け"俺"とか言わない様にしよう。
「レイ王子ですね」
「誰だよ。……また家庭教師?勉強めんどくさい」
俺はお前のお世話がめんどくさい。
そう叫んでやりたい。よく聞かないと五感奪うからな。
全て嫌って言いそうだし、甘やかされすぎだろうが。
「一応聞いときますねー。なんで嫌なんですか?」
「別になんでもよくね」
なんでもよくねぇんだよ。
俺のモチベがかかってるんだから答えてくれ。
取り敢えず!
「勇者適正があったなら頑張ってください」
「嫌だよ」
なんでだよ。
勇者適正あるのって凄いんだからな。
俺の待ち望んだ勇者だからな。
「僕、魔王軍に入りたい。魔王の側に仕えて、強くなりたいんだ」
……これは、今迄の家庭教師が辞めるわけだ。
王は俺が魔王と知っているから拾ってくれた。
「どうせ辞めるんでしょ?どっか行って」
うーん、どうしたものか。
何とかして王子を常識人まで育てないといけないな……。