13:魔王城へ
目が覚めたら、王子がいた。
いやお前なんでいるの?怖いんだけど。
どうやら俺が一昨日の膨大な魔力の所為で1日も寝ていたらしい。
どうりで体が軽いと思ったら、俺はマジで倒れて寝ていたのか。
王子はそんな俺を心配して様子を見にきたのだとか。
わざわざ来なくてもちょっとやそっとじゃ死なないかな。
「今日こそ魔法剣!」
「王子......」
俺の感動を返せ!って言いたい。
心配で見にくるとかお前成長したなって思った直後これだからな。
「本日は私がお休みのはずです」
「3日も魔法剣お預け?」
「素振りでもしとけばいいと思いますけど」
剣使うには基礎からやれ!
王子は渋々と自分の部屋へ戻ったみたいだ。
そんな悲しい顔をされても俺が悪いみたいになるからやめてくれないかな。
今日は人間で言うところの土曜日ってやつと日曜日っていう休日の日。
仕事が休めるらしく、今まで散々働いてきた俺の味方になってくれる2日間だ。嬉しい。
魔王城でもこの制度を取り入れたい。
そしたらきっと、俺が倒れて人間の国の王に拾われ、王子の家庭教師にならなくて済んだ。
まあでも......そのおかげで今は楽しいからいっか。
今日は魔王城へ一度、帰ろうと思っていたのだ。
時空間魔法、空間移転。
もちろん行き先は久しぶりの魔王城である。
魔王城ってこんなに暗かったか?俺、明るい方が好きだったんだけど......。
魔王城の玉座の間まで向かった。そこは数十年前に魔王になった時、人間の親友ってやつが作ってくれた俺にとってとても大切な場所だった。一度できた人間の弟子も此処で俺に土下座してきたっけ。
「久しぶり」
魔物に話しかけた。
「魔王様......!」
「魔王様が帰ってきたゾー!」
「魔王様、どこに行っておられたのですカ?」
何処って言って素直に答えるやつがいるか。
人間の国、しかもブルーライズで王子の家庭教師をやっているって口が裂けても言えないわ!
にしても、なんでこいつらは目を輝かせて俺を見ているんだ。
「俺は、人間のフリをして過ごしている。もう少しで弱みを握れそうだぞ」
「流石魔王様ですネ!」
間髪入れずに返してくる魔物達。おい、俺に休憩する暇をくれ。
それに嘘だってことを気付かないのか。
「ちなみにどんな弱みですカ?」
よくぞ聞いてくれた名無しの魔物A!
って、言える場合ではないけど少し聞いてほしかった気持ちがある。
「とある国の王子についてだ」
「おおー、流石でス」
例えば、意外とピュアだったり、正義感が強かったりするけど好奇心旺盛のくせに迷子になるから世話を焼くことが多かったり、後は甘いものが好きだったり苦いものが苦手だったり、前に買ってやった女神の涙のブレスレットはユナ様へのプレゼントで照れ屋で恥ずかしがり屋なところがあったりな......。
んーっと、他には......あっ、
「最近こっそり闇属性の勉強をしてるとか!」
「闇属性の勉強、ですカ。何が弱みなんでス」
「光属性を主に学べって言われてるから闇属性をなるべく覚えちゃダメなんだよ」
「なるほどでス。流石は魔王様!」
こいつらそれしか言わないじゃないか。魔王様の事を本当に尊敬してるのか?
「それにしても詳しいですネ」
「うん、俺も思った」
「これからその国を潰すんですカ」
「いいや、俺は人間と争いがしたくないんだ」
人間を愛する魔物はほとんどいない。
俺らは何も危害を加えてないのに人間が魔物を敵対視するから戦い合う。
魔族だからって必ずしも魔法は使えない。
それに浄化魔法などの神聖な魔法を使えるわけがない。
俺が使えるのにはれっきとした理由があった。俺の母さんが大精霊だったのだ。
今は父さんも母さんも心中したからいないけど、母さんと父さんは死ぬ前に全ての魔力を分けてくれた。
大精霊は、人間を愛していたのだ。
「だから、これからは人間を襲わないでくれ」
わかってくれるやつは誰もいないか。
そろそろ戻って料理改革をしなければならない。
俺が今出来ることはそれくらいしかなかった。
早く、美味い飯でも食おう。
・時空間魔法、空間移転。
本当なら詠唱をしなくてもいいのですが優しい魔王は心の中で詠唱してくれてるみたいです。
そのまま、空間を通って移動できます。
王子の家系、ブルーライズは代々闇属性を使えません。
王子は魔王軍に入りたいらしいので1人で頑張っているみたいです。




