表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平民だからと婚約破棄された聖女は、実は公爵家の人間でした。復縁を迫られましたが、お断りします。  作者: 木山楽斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/84

第84話 明るい未来

 私は、ロクス様ととある部屋に来ていた。

 そこは、ロクス様の私室だ。婚約者の私室であるため、私は少し緊張している。


「セレンティナ様? 大丈夫ですか?」

「え、ええ……」


 何故ここに来たのかというと、ここに来たことがなかったからだ。

 今まで、ヴァンデイン家の屋敷には何度か来ていた。しかし、この部屋に来たことはなかったのである。

 私室というのは、完全に個人のものだ。婚約者といっても、そこに踏み込める程、私とロクス様の関係は深くなかったのである。

 しかし、今は違う。お互いに思い合っているので、こういう空間に踏み込んでも問題ないのだ。


「僕の部屋に招くのは、少し早かったでしょうか?」

「いえ、そんなことはありません。ただ、流石に緊張してしまって……」

「そうですか……まあ、逆の立場だったら、僕も動揺すると思うので、仕方ないことでしょうね……」


 私の言葉に、ロクス様はゆっくりと頷いてくれた。

 いつかは、ロクス様を私の部屋に招く日が来る。その事実は、私を中々に焦らせてくれるものだった。

 その時のために、綺麗にしておかなければならないだろう。幸い、今は同居人がいるため、きちんと掃除しなければならないという気持ちが強い。それなりに、掃除も頑張れるはずだ。


「それにしても、ロクス様は、よくドルスを受け入れましたね?」

「え? ああ、彼のことですか?」

「ええ、彼を住み込みで働かせるのは、中々思い切ったことですよね?」


 同居人のことを考えたため、私はロクス様にそんな質問をしていた。

 言っては悪いが、この公爵家に、小さな村の平民を働かせるのは、かなり思い切ったものだ。それを実行したことは、中々驚くべきことである。


「まあ、彼を応援したくなったというだけです。彼に関しては、色々と思う所がありますからね……」

「なるほど……」


 ロクス様の考え方は、とても簡単だった。

 ムルルを思う彼を、応援したかったから。その単純明快な理由はとても納得できる。


「さて、セレンティナ様。ムルルが見つかったことで、後任の聖女の問題は大方解決したということですね?」

「え? ええ、そうですね……」

「これで、僕達の未来に関する問題は解決したということですね……」

「そうですね……」


 そこで、ロクス様はそのことを指摘してきた。

 確かに、ムルルが後任として見つかったことで、私達の未来に対する問題は解決した。後任がいれば、私が引退することになっても問題ない。

 当然、まだ引退するつもりはないが、将来の心配が消えたのは喜ばしいことである。


「僕達の未来は明るいものになりそうですね」

「ええ……」


 ロクス様の言葉に、私は笑顔で応えた。

 これからの私達の未来は、きっと明るい。その未来に向かって、私はロクス様と一緒に歩いて行くのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ