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平民だからと婚約破棄された聖女は、実は公爵家の人間でした。復縁を迫られましたが、お断りします。  作者: 木山楽斗


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第72話 視線を感じながら

 私とロクス様は、アモルの村の中を歩いていた。

 特に変わった様子もなく、村人達は生活している。その様子だけ見れば、普通の村とあまり変わらないように見える。

 だが、なんとなく警戒心のようなものも感じられた。どことなく、村人の動きがぎこちないのだ。

 それは、もしかしたら、私を警戒しているからかもしれない。このような村に来るのは初めてだ。一体、この村に何が起こっているのだろうか。


「セレンティナ様」

「ロクス様? どうかしましたか?」


 そこで、ロクス様が私に小声で話しかけてきた。

 よくわからないが、ロクス様は少し険しい顔をしている。

 もしかして、何かに気づいたのだろうか。私は、ロクス様に事情を聞いてみることにする。


「先程から視線を感じます」

「視線? それは、感じていますね」

「いえ、周りの村人からではありません。つけられているのです」

「え?」


 ロクス様の言葉に、私は少し驚いた。

 どうやら、私達はつけられているらしい。

 それは、中々に恐ろしい情報だ。こんな村で尾行とは、物騒である。


「あの老人の指示で、誰かがつけてきているということですか?」

「いえ、恐らく違うと思います。つけてきているのは子供ですから、なんとなく事情が違う気がします」

「子供?」


 色々と恐れていた私だったが、つけてきているのが子供だと聞いて、それは疑問に変わっていた。

 先程の老人が指示して、大人が尾行しているならわかる。私達の動きを監視するというのは、あの老人の態度からしておかしくはない。

 しかし、子供が尾行とはどういうことだろう。色々とよくわからない。


「それは、どういうことなのでしょうか?」

「先程から、村人同士の態度を見ていると、なんだかお互いを牽制しているように思えます」

「牽制……確かに、そういう風にも見えますね」

「ええ、だから、周りの者達は人の目が怖いのではないかと思います」

「人の目が怖い……」


 ロクス様の言葉に、私は気づいた。

 確かに、村人達の視線は、村人同士にも向けられている。

 どうやら、村人達はお互いに監視しているようだ。

 何故、そのようなことをしているかは見当もつかない。だが、まともな状態でないことだけは確かだろう。


「そういうことから考えて、つけてきている子供は、僕達がどこか人気のない場所に行くのを待っているのではないでしょうか」

「なるほど、それなら、やることは一つですね?」

「ええ、それが一番だと思います」


 ロクス様の言葉の意図は、すぐに理解できた。

 人気のない場所に行くのを待っているなら、それに乗ればいいだろう。

 こうして、私達は行動を開始するのだった。

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