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平民だからと婚約破棄された聖女は、実は公爵家の人間でした。復縁を迫られましたが、お断りします。  作者: 木山楽斗


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第61話 まだ早い会話

 私は、ヴァンデイン家の屋敷で、ロクス様と対面していた。


「あの……ロクス様、先程話していた聖女の仕事に関することを質問してもよろしいでしょうか?」

「え? ああ、構いませんよ」


 色々と話していたが、私は今日一番聞きたかったことを切り出した。

 私がロクス様に聞かなければならないのは、ロクス様と結婚した後、私がどうなるかだ。貴族の仕事はあるのか、聖女の仕事を続けられるのか、色々と聞きたいことがある。


「えっと……」


 その話を切り出そうと思った私は、とあることに気づいた。

 よく考えてみれば、この話を切り出すためには、まず結婚するという前提から話を始めなければならない。

 それは、なんだか少し恥ずかしかった。思いを伝えあってから、二回目の会合で結婚の話をする。それで、本当にいいのだろうか。


「セレンティナ様? どうしましたか?」

「あ、すみません。ちょっと、話したいことをまとめていて……」


 しかし、私はすぐに考えを改めた。

 私とロクス様は、婚約者である。結婚することは、当然のことだ。前提条件は色々とあったが、これは間違いないはずである。

 そのため、それを話すことはなにも恥ずかしいことではない。むしろ、積極的に話し合って、色々と見通しを立てるべきことなのだ。


「ロクス様……私達は、結婚するのですよね?」

「結婚? え、あ、そうですね……結婚するのだと思います」


 思い切って言い放った私の言葉に、ロクス様は明らかに動揺していた。

 婚約者であるが、ロクス様もまだそこまで考えられていなかったのだろう。その気持ちは、とてもわかる。私も、同じような気持ちだったからだ。

 そのため、私は後悔していた。この言葉は、私達にはまだ早かったようだ。

 ただ、聞いておかなければならないことだったのも事実である。もう口に出してしまったので、この際全てを聞いておくことにしよう。


「結婚してから、私はどうなるのでしょうか?」

「ど、どうなる? えっと……僕の妻になるということでしょうか?」

「……妻になったら、貴族としての役割がありますよね? それと聖女の仕事が両立できるのか、少し心配なのです」

「え? ああ……そういうことですか」


 動揺していたロクス様だったが、私の言葉を聞く内に落ち着いてきていた。

 恐らく、真面目な話だったため、冷静になっていったのだろう。真面目な人だからなのか、こういう時の切り替えはとても早い。それは、今の私にとってはとても助かることだ。

 これで、私の今後のことを聞くことができるだろう。

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