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平民だからと婚約破棄された聖女は、実は公爵家の人間でした。復縁を迫られましたが、お断りします。  作者: 木山楽斗


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第48話 前に進むために

 私達は、ザレング様との話を終えて、帰ろうとしていた。

 そこで、サレース様がロクス様に告白した。自身の思いに決着をつけるために、サレース様は告白することを選んだのである。


「……申し訳ありませんが、僕はあなたの好意に応えることはできません」

「そうですか……」


 それに対して、ロクス様は端的に答えた。

 サレース様の好意に、応えることができない。それが、ロクス様の告白に対する答えなのである。

 その答えに、サレース様はあまり表情を変えていない。まるで、その答えを知っていたかのようだ。

 いや、実際に知っていたのだろう。ロクス様の答えを知っていたから、サレース様はそのような態度なのだと考えた方が自然である。


「ありがとうございます。これで、自分の心に決着がつきました……」

「い、いえ……」


 サレース様は、ロクス様にお礼を言った。

 今回の告白は、自分の気持ちに決着をつけることが目的だったのだろう。

 だから、表情を変えず、お礼が言えるのだ。そうでなければ、いくらなんでもお礼までは言えないはずである。


「セレンティナ様……」

「え? あ、はい」

「どうか、ロクス様と幸せになってくださいね」

「あ、えっと……はい」


 そこで、サレース様は私に話を振ってきた。

 ただ、その質問は少し答え辛いものだった。なぜなら、ロクス様の婚約は、私にとって面倒なことを避けるためのものでしかなかったからである。

 この婚約は、私に対して色々と仕掛けてくる貴族を牽制するためのものだ。だから、幸せになってと言われても、どう反応していいのかわからなかったのである。

 よく考えてみれば、私はロクス様との婚約についてそこまで深く考えたことがない。しかし、それでは駄目なのではないだろうか。


「ロクス様も、どうか、セレンティナ様を幸せにしてあげてくださいね……」

「ええ、もちろんです」


 そんな私とは対照的に、ロクス様は堂々と質問に答えていた。

 そこまで堂々と言ってもらえるのは、少し嬉しいことである。


「言うまでもありませんよね……ロクス様が、自ら選んだ婚約者なのですから……」

「……ええ」


 サレース様は、さらにそのようなことを言った。

 どうやら、サレース様は少し勘違いをしているようだ。

 この婚約は、ロクス様が自ら選んだ婚約という訳ではない。単に、私を守るための婚約なのである。

 だが、端から見ればそのように見えるのは仕方ない。裏の事情など分かる訳がないのだから、それも当然だろう。

 こうして、サレース様に関する一連の騒動は解決するのだった。

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