第41話 理不尽な抗議
私は、いつも通り聖女の仕事をしていた。
サレース様の件は、まだ解決していない。ロクス様とサレース様の予定が合えば、話し合いをするらしいので、それで解決するだろう。
私が一番恐れているのは、この間にサレース様が何か行動を起こすことだ。問題が解決する前に、何かしてこられるととても面倒である。
「セレンティナ様、大変です!」
「えっ?」
そんな私の耳に聞こえてきたのは、ラカニアの焦ったような声だった。
なんだか、とても嫌な予感がする。もしかして、私が恐れていたことが、起こったのではないだろうか。
「何があったの?」
「じ、実は、アルガンデ家から、王城に正式に抗議があったそうなのです」
「アルガンデ家から……抗議」
ラカニアの言葉に、私は頭を抱えた。
どうやら、アルガンデ家が王城に正式に抗議してきたらしい。
これは、とても困ったことだ。公爵家からの抗議など、色々な所から色々と言われそうである。
しかも、それが私のことが発端だというのだから、とても面倒くさいことになりそうだ。
「どういう抗議なの?」
「えっと……聖女がサレース様の言葉を取り合ってくれないという抗議でした」
「まあ、そういう抗議になるよね……」
アルガンデ家がしてきた抗議は、私がサレース様の言葉を取り合わないということであるらしい。
言葉を取り合わなかったのは、聖女の仕事と関係ないことを質問されたからなのだが、それは隠しているようだ。
これは、中々厄介なことである。あの会話は、私とサレース様しか内容を知らない。それを捏造されると、とても困るのである。
唯一、希望があるのは、サレース様を追い出してくれた兵士達の証言だろうか。あの時もサレース様は色々と言っていたので、それを聞いた兵士達が証言してくれるかもしれない。
「はあ、これからまた厄介なことになるのかな……」
「まあ、なるでしょうね……」
とにかく、これからとても厄介なことになることだけは確かだろう。
貴族からの抗議など、とても面倒なことになると決まっている。
「でも、負けてはいけません。私達は、貴族の抗議に負ける訳にはいきませんよ」
「そうだね。これに屈してしまったら、色々と抗議が増えそうだよね……」
ただ、この抗議に負ける訳にはいかない。
抗議に屈すると、他の貴族からも抗議が来て、収拾がつかなくなってしまうからだ。
つまり、私達は戦わなければならないのである。抗議に屈さず、断固とした態度で臨まなければならないのだ。




