第40話 はっきりとした態度で
私は、ロクス様にサレース様に好意を持っているか聞いていた。
この質問は、とても重要なものである。この答えによって、これからとる行動が変わってくるのだ。
「え、えっと……率直に言うと、僕はサレース様に好意を抱いている訳ではありません」
「そうですか……」
ロクス様は、私の質問に答えてくれた。
大方わかっていたが、ロクス様はサレース様に好意を持っている訳ではないようだ。それなら、これからとる行動は決まってくる。
「ロクス様、それならきっぱりと断ってもらえませんか?」
「え?」
「だって、ロクス様が曖昧な態度だと、私はこれからもサレース様に付きまとわれることになります。それは、正直言って面倒なので、ロクス様に断ってもらって、サレース様に諦めてもらいたいのです」
私がロクス様に望んでいるのは、サレース様からの好意をきっぱりと断ることだ。
このままロクス様が曖昧な態度だった場合、サレース様は私の元に何回も訪ねてきそうである。正直、それはとても面倒くさい。できれば、避けたいことだ。
それを避けるためには、ロクス様がきっぱり断ればいいのである。そうなれば、サレース様も諦めて、私の元に来ることもなくなるだろう。
「あ、えっと……断るといっても、僕は別に告白をされている訳ではありませんよ?」
「でも、好意を向けられている自覚はあるのでしょう?」
「それは……そうなのですが」
私の言葉に、ロクス様はかなり困惑していた。
それも当然である。別に、ロクス様はサレース様から告白されている訳ではないのだ。それなのに、きっぱり断れと言われても困ってしまうことは理解できない訳ではない。
ただ、私としてもサレース様に付きまとわれるのは嫌だ。聖女の権限で無理やり追い出した時も、色々と言っていたし、あの人は絶対にしつこい。その面倒な対応をなくすために、ロクス様にはきっぱりとした態度をとってもらいたいのだ。
「そもそも、ロクス様がはっきりとした態度をとってくれれば、今回の件は何も問題がありません」
「も、問題がない?」
「ロクス様はお優しい方なので、サレース様を傷つけないように曖昧な態度をとっていたのかもしれませんが、それではサレース様も踏ん切りがつかないと思います。だから、きっぱりと断っておいた方がお互いのためになるのではないでしょうか?」
「そ、そうですね……」
私の言葉に、ロクス様は納得してくれた。
あまり乗り気ではないようだが、そうするのがいいと思ってくれたようである。
これで、サレース様の問題も解決できそうだ。とりあえず、安心していいのではないだろうか。




