第33話 忙しい毎日
私は、今日も聖女として働いていた。
色々なことがあったが、私の毎日はそこまで変わっていない。今日も変わらず、聖女の仕事をしているのだ。
「今日も忙しいですね……セレンティナ様……」
「そうだね……」
いつも通り、ラカニアが私に話を振ってきた。
ラカニアは、忙しい毎日にかなり疲労しているようだ。その顔に、かなり疲れが見える。
「ごめんね。こんなに忙しいのは、私が少し空けることが多くなったから……」
「いえ、それは構いません。セレンティナ様は、今は色々と大変なのですから、気にしないでください」
ラカニアの仕事が忙しいのは、私のことが関係していた。
最近、私はヴァンデイン家によく訪問している。色々と事件もあったため、訪問する回数を増やさざるを得なかったのだ。
そうやって、私が休みと、そのしわ寄せは部下であるラカニア達に来るのである。
そのことについて、私はとても申し訳なく思っていた。私のせいで、ラカニア達が忙しくなる。それは、私としては不本意なことなのだ。
「疲れているなら、休んでもいいよ? 私のせいで忙しくなったから、この仕事は私のものだし……」
「そんなことをして、セレンティナ様に倒れられたら、それこそ大変なことになります。それに、私達も休みを貰っていない訳ではありませんよ? 普通の休みは貰っています」
休んだ方がいいとラカニアに言ったが、それは受け入れられてもらえなかった。
ラカニアは、基本的に責任感が強い。休んでもいいと言っても、仕事が気がかりになってしまうのだろう。
何より、ラカニアは優しい。私のことを気遣って、仕事を休まないのである。
その優しさは、とても嬉しいものだ。だが、それと同時に私の罪悪感を加速させるものだった。
やはり、私が休むと良くないようだ。これからは、あまり休まない方がいいのかもしれない。
「そういえば、次にヴァンデイン家の人々と会うのはいつなのですか?」
「え? ああ、実は次の休みは、丁度ロクス様と予定があって……えっと、二人で出かけることになっているね……」
「二人で? そうですか? それは、おめでたいことですね」
そこで、ラカニアは次にヴァンデイン家といつ会うのかを聞いてきた。
実は、次の休みにロクス様と会うことになっているのだ。
それは、アウターノ様のお見舞いに行くためなのである。
そのため、ラカニアが思っているような意味があるという訳ではない。
ただ、アウターノ様のことは公にされていない。だから、それをいう訳にはいかないのだ。
そんなことを話しながら、私達は仕事を続けるのだった。




