第23話 訪問の終わり
私は、ルルーラ様とカタルス様との話し合いを終えて、ロクス様とともに廊下を歩いていた。
「さて、今日会う予定だった人達とは全員対面を終えました」
「そうなのですね。それなら、少し安心できますね」
とりあえず、今日会う予定だった人達は、これで全員会ったことになるらしい。
そのことに、私は安心する。これでもう、緊張することもないからだ。
「お疲れさまでした、セレンティナ様」
「ありがとうございます」
ロクス様は、そんな私に労いの言葉をかけてくれた。
本当に、今日一日は色々な人と会った。その度に、かなり緊張したものだ。
安心感とともに、その疲労はかなり出てきている。とても疲れたので、早く休みたいものだ。
「それで、今日は泊まっていってもらってもいいのですが……」
「あ、いえ、家に帰らせてもらいます。このままここにいるのは、少し厳しいです。明日も、聖女としての仕事がありますから……」
「そうですよね……残念ですが、仕方ありません」
私は、この後家に帰ることになっていた。
ヴァンデイン家としては、泊まっていってもらいたいらしいが、それは無理な話なのである。
明日も、聖女の仕事はある。そのため、王城から近い家に帰らなければならないのだ。
そもそも、この家に泊まっても、緊張して私の体が休まることはない。そういう面もあって、私は家に帰りたいのである。
「次に会う時がいつになるかはわかりませんが、また近い内に会えるといいですね」
「そうですね……あ、もしアウターノ様に動きがあったら、私に教えてください」
「アウターノですか?」
そこで、私はロクス様にあることを頼んでおくことにした。
私は、カタルス様から、アウターノ様を止めることに協力して欲しいと言われている。
その約束を果たすために、アウターノ様に何か動きがあったら、教えてもらいたいのだ。
「私に何ができるかはわかりませんが、カタルス様と約束したのですから、やれるだけのことはやりたいと思っています。だから、アウターノ様の動向が知りたいのです」
「……わかりました。もし、彼が何かをしようとしているような動きがあったなら、あなたにお伝えしましょう」
「ありがとうございます」
私の要望を、ロクス様は聞いてくれた。
これで、アウターノ様が何かしようとすれば、私の耳に入る。そうすれば、カタルス様に力を貸すこともできるだろう。
「それでは、私はそろそろ失礼させてもらいますね」
「ええ」
これで、ここでやるべきことは終わった。
後は、家に帰るだけである。