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第20話 妹と弟

 私とロクス様は、廊下を歩いていた。

 過去の話を聞き終えて、またヴァンデイン家の人々と会うのだ。


「次に会ってもらうのは、僕の妹のルルーラです」

「ルルーラ様ですか?」

「ええ、当然のことですが、セレンティナ様より年下ですから、今回は冷静にしてもらえると助かります。ルルーラの方が、かなり緊張していますので……」

「あ、なるほど……」


 次に会うのは、ロクス様の妹であるルルーラ様であるらしい。

 私よりも年下の女の子と会うのだ。それなのに、私が緊張していてはいけないだろう。

 ここは、向こうの緊張が和らぐように、私が年上として余裕を持っておかなければならないのだ。

 とりあえず、私は深呼吸する。これで、少しは緊張も和らいだだろう。


「それでは、行きますよ」

「はい」

「ルルーラ、ロクスだ」

「あ、はい。入ってください」


 ロクス様が戸を叩くと、中から女の子の声が聞こえてきた。

 これが、ルルーラ様の声なのだろう。


「失礼するよ、ルルーラ……あれ?」

「あ、お邪魔しています」

「カタルス……来ていたのか」


 部屋の中に入った私とロクス様は、少し驚いた。

 なぜなら、部屋の中には女の子と男の子がいたからだ。

 ロクス様の言葉から、その男の子がカタルスという名前だということがわかる。


「カタルス様とお話ししていたのです。ロクスお兄様が来るまで、少し時間があったので……」

「そうだったのか。カタルス、ありがとう。妹の相手をしてくれて……」

「いえ、僕が話したかったから、来ただけです」


 ルルーラ様は、カタルス様と話していたようだ。

 私が来るまで待機していなければならないので、時間を潰していたのだろう。

 しかし、このカタルス様は何者なのだろうか。明らかに使用人ではないので、ヴァンデイン家の人間なのだろう。

 ただ、兄弟という訳ではない気がする。感覚的に、少し違うような気がするのだ。


「ああ、セレンティナ様、すみません。こちらのルルーラが、僕の妹で、こちらのカタルスが、先程会ったアウターノの弟です」

「え? アウターノ様の……」


 ロクス様の言葉に、私は驚いた。

 目の前にいる少年は、アウターノ様の弟であるらしいのだ。

 その割には、この少年はロクス様やルルーラ様にとても友好的である。先程のアウターノ様とは、真逆の態度だ。

 どうやら、カタルス様は特に恨みを抱いている訳ではないようである。いや、この態度が演技という可能性もあるが、それを考える必要はないだろう。

 こうして、私はルルーラ様とカタルス様と会ったのだった。

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