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第17話 嬉しい知らせ

 私は、ロクス様の兄であるラウド様とその妻であるファルティ様と会っていた。

 なんでも、ラウド様の名前は、私の父に由来しているらしい。自身の長男に、弟の名前をつけたのだ。少し気持ち悪い気もするが、それだけ私の父はログド様に愛されていたということなのだろう。


「そういえば、今日は兄上達からも話があると言っていましたね?」

「む? ああ、その話か」


 そこで、ロクス様はそのように切り出した。

 どうやら、ラウド様達から何か話があるようだ。

 ただ、ロクス様はどうしてこのタイミングで、この話を切り出したのだろうか。

 その話は、私にはあまり関係ない話であるはずだ。それなのに、ここでその話を振るということは、何か意味があるのだろうか。


「それなら、話させてもらうとするか。これは、セレンティナにも報告しておきたかったことだ。聞いてもらっていいだろうか?」

「あ、はい……」


 そう思っていた私に、ラウド様はそのように言ってきた。

 どうやら、私にも聞いてもらいたいことだったようだ。


「セレンティナを迎えたことで、我々の家族が一人増えた。だが、実はもう一人増えるのだ」

「それって……」

「まさか……」


 ラウド様の言葉に、私もロクス様も驚いた。

 家族が、もう一人増える。その言葉と、ラウド様とファルティ様の表情。その全てが、あることを物語っている。


「ああ、子供ができたのだ」

「そ、そうなのですね……おめでとうございます」

「兄上、義姉上、おめでとうございます」


 私達の予想通り、ラウド様とファルティ様の間に子供ができたようだ。

 それは、とてもおめでたいことである。会ったばかりの私でも、とても嬉しい気持ちになるくらいおめでたいことだ。


「ロクス、お前も叔父になるのだ」

「お、叔父ですか……なるほど」


 ラウド様の言葉に、ロクス様は困惑していた。

 いきなり、叔父になると言われたのだ。その反応は当然だろう。

 だが、それでもロクス様は嬉しそうだ。新たな家族が増える喜びを、噛みしめているのだろう。


「セレンティナ様も、叔母になるのですよ。正確には、何になるのかはわかりませんが……」

「あ、そうなのですね……」


 ファルティ様の言葉で、私も困惑することになった。

 よく考えてみれば、ロクス様の婚約者である私も叔母になるのだ。

 正確には、いとこの子供なので、どういう関係になるのかはわからないが、叔母ということでいいのだろう。

 なんとなく、ロクス様の気持ちがわかってきた。この嬉しさと困惑は、中々奇妙なものである。

 こうして、私達は嬉しいことを知らされたのだった。

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