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第13話 当主との対面

 私は、ロクス様に連れられて、ヴァンデイン家の屋敷に来ていた。

 いよいよ、ヴァンデイン家の人々と対面するのだ。

 私は、色々と緊張していた。来るまでも、緊張していたのだが、着いてから、さらに緊張することになってしまった。

 なぜなら、ヴァンデイン家の屋敷がとても広く、その強大さを実感することになってしまったからだ。

 そのような大きな家に住む人達と親戚。その事実が、私の緊張を加速させたのだ。


「さて、まずは言っていた通り、父上に会ってもらいます」

「は、はい……」


 私は、とある部屋の前まで来ていた。

 そこで、ヴァンデイン家の現当主であるログド様が待っているようなのだ。


「セレンティナ様、少し深呼吸をしましょうか」

「あ、はい」


 ロクス様に言われて、私はゆっくりと深呼吸をする。

 まずは、少しでも緊張を和らげた方がいい。ロクス様は、そう言ってくれているのだ。

 こういうことを指摘してもらえると、とても助かる。やはり、ロクス様はとても頼りになる人だ。


「落ち着きましたか?」

「あ、はい。ありがとうございました」


 深呼吸をしたおかげか、私は少しだけ落ち着いていた。

 これで、きっと大丈夫だろう。


「それでは、行きましょうか?」

「はい……」

「失礼します」


 ロクス様は私に確認をとってから、ゆっくりと部屋の戸を叩く。


「入っていいぞ」


 すると、中から男性の声が聞こえてきた。

 その低い声は、少しロクス様に似ているような気もする。

 声の後、ロクス様はゆっくりと部屋の戸を開いた。いよいよ、ログド様と対面することになるのだ。


「父上、セレンティナ様を連れてきました」

「うむ……」


 部屋の中には、一人の男性がいた。

 ロクス様に少し似ている初老の男性だ。この人が、ログド様なのだろう。


「……君が、セレンティナ・ウォズエ……か」

「あ、はい。セレンティナ・ウォズエです」

「私が、現ヴァンデイン家当主であるログド・ヴァンデインだ」


 やはり、目の前の人物がログド・ヴァンデイン様であったようだ。

 なんだか、ログド様は少し険しい顔をしていた。あまり、歓迎しているような感じではない気がする。


「父上、何を緊張しているのですか? 父上が緊張してしまったら、セレンティナ様も緊張してしまいます」

「いや……それはわかっているのだが……」


 一瞬身構えた私だったが、ロクス様の言葉で安心することができた。

 どうやら、ログド様も緊張していたようだ。

 それがわかると、ログド様のことが少し可愛く思えてきた。少し怖い顔をしていると思ったが、その恐怖は吹き飛んだ。

 そして、緊張しているのが私だけではないという事実を得られたことはいいことである。そのことは、私の緊張は和らげる要因の一つとなった。

 こうして、私はログド様と対面したのだった。

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